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多事多難  9
思い切り掃除がしたい。いや、すればいいじゃんという話しなのですが、重い腰が。(笑)春の大掃除って動きやすくて好きです。まずは本ですね、溜まってます。雪崩が起きる寸前です。 あ、under更新してます。R指定ですので、ご了承の上ご覧下さいませ。


では、どうぞ















昼前には王宮に戻るから一緒に出掛けることは無理だと杜博に説得する理由も無くなり、夕鈴はのろのろと立ち上がった。 兎に角、本当に自分がそんなことを言ったのか、どんな状況だったのか、皆はまさか戯言を真面目に捉えていないだろうなと、確かめる必要がある。
こうなったら明玉に聞くのが一番手っ取り早い!

杜博が台所で朝食を作っているから玄関から外に出ようと足を向けると、見るからに機嫌の悪い几鍔が立っていた。 思わず叫びそうになったけど、急いで口を押さえて几鍔に問い詰める。

「あああああ、あんたでもいいわっ! ねえ、私昨日の夜、杜博から結婚してくれって言われて、承諾したって本当なの? 嘘って言ってっ!」
「お前、覚えてないのか! あれしか飲んでないのに本当に酒に弱いな。 いいか、もう酒は口にするなよ。 面倒ばかり背負い込む癖を如何にかしないと、借金が重なり・・・・・」

呆れたような表情でしゃべり続ける几鍔の胸ぐらを力いっぱい掴み上げる。 
いや、どうしても身長差があるから掴み下げる形になるが、兎に角思い切り几鍔を睨み付けて 「いいから嘘って言えっ!」 と畳み掛けた。

「・・・・・オレが・・・ こんな奴嫁にしたら苦労するって言ったら、お前怒ってな。 ま、いつもの事だけど、酒が入っていたせいかお前は杜博に向き直って 『喜んでお受け致しますわっ!』 って承諾しやがって。 まあ、酒の席だから誰も信じてないだろう。 ・・・・・ただ、そん時の杜博の顔が気になってちょっと様子を見に来たんだが」

几鍔の言葉を聞いた夕鈴は手から力が抜けて、その場にしゃがみ込みそうになった。
ふら付く夕鈴の肩を掴もうとした几鍔は伸ばしたその手を阻まれる。 眉を寄せて阻んだ相手に目をやると、温和な表情で夕鈴の肩を掴み寄せる杜博が立っていた。

「おはよう、几鍔。 夕鈴ちゃんちに朝早くから来るなんて、やっぱり付き合ってるのか?」
「・・・っ! そんなんじゃねぇーよ! 酒呑んだ後のこいつが少し気になって顔を出しただけだ。 って、お前も早朝からコイツの家で何をしてるんだ?」
「だって俺、夕鈴ちゃんのお婿さんだし。 義理父に挨拶をと思って」

その言葉に、はっとした夕鈴が杜博の顔を見上げて掴まれた手を取り外した。

「あのね、杜博! 酒を飲んだからって覚えていない私が悪い。 だけど如何しても、相手が誰でも、結婚なんて今は考えられない。 借金があってバイトしている身だし、青慎のことも心配。 第一、私にその気は無い。 だから酒の上での戯言と許して欲しいの」

組んだ手を杜博に向けて、夕鈴は必死にお願いをした。 強く瞑った目には涙が滲んでいる。
どうしても判って貰わなきゃ困るのだ。 
はっきりとバイトは中止だと、もう要らない人間だと陛下や李順さんに言われるまでは、自分は 『狼陛下の縁談避けの臨時花嫁』 であり、 『妃を狙う陛下の敵を誘き寄せる囮』 だ。 
青慎の学費もある、生活費もある。 そして多額の借金もある。
以前李順さんに 『臨時花嫁の代わりなど いくらでもいるんですからね』 と言われたが、自らバイトを放棄するのは違うと思う。 
第一、自分に結婚の意志はまだない。

「・・・・杜博。 コイツには付き纏っている面倒な役人がいてな、関わりを持つと面倒だぞ」
「あっ、あの人は関係ない! それは関係なしに、まだ私自身が結婚なんて考えられない」

突然几鍔の口から陛下の・・・・ 李翔さんのことが出たが、今回は呆れているのだろう、姿も無い。 関わりを持つどころか、バイトが終われば関わりがあったことすら泡沫の夢と消える人。 あの人は克右さんが言っていたように、尊き御方なのだ。 こんなところに姿を見せて良い人じゃない。 やるべきことを沢山抱えている人なのだ。

心からの謝罪と正直な気持ちを繰り返して、杜博の顔を窺う。 大きく目を瞠った杜博は暫く何か考えているようだったが、深く溜め息を吐くと几鍔に向き直り、両手を挙げた。

「悪い・・・・、正直に言うよ。 ホント、夕鈴ちゃんを困らせるつもりは無かったんだ」

急に態度が変わった杜博に驚くが、一旦話を中断して貰い青慎に朝食を食べさせる。 
すごく心配げな顔をさせたまま、青慎を無理やり学問所へと押し出した。 




そして、家の中には気まずい三人。 本当は几鍔に帰れと言いたいのだが、杜博と二人になるのも正直気が進まず、その上そんな私の機微を知られているようで、彼が眉根を寄せた申し訳なさそうな顔で私を見てくるから困り果ててしまう。

「ねえ、何を正直に言うの? 本当は結婚したいって嘘ってこと?」
「・・・・・う~ん、夕鈴ちゃんさえ良ければ結婚はしたいな。 昔よりずっと可愛くなっているし、働き者だろう。 如何だろう、一度考えてみる気はないか?」
「・・・・・だから、私は」

困惑の表情を浮かべる私の目の前に杜博の掌が差し出される。 
「冗談だよ」 と言われてもちっとも笑えない。

「夕鈴ちゃんとなら楽しい結婚生活が送れそうだと思うのは本当。 でも、酒のせいにして性急に申し込む気はないよ。 苛めてごめんね。 ちょっと事情があってね」

少し首を傾げた杜博に几鍔が詰め寄る。

「昨日も言ったとおり、こんなクソ可愛げのない女を相手すると、後々大変な苦労を背負い込むぞ。 コイツには岩圭という面倒な親父が付いて来る。 ブラコンだし、口煩いし、苦労するぞ」
「几鍔にそこまで言われる意味が判らないっ! この非道金貸しっ!」
「うるせー! 幼馴染がお前に騙されねえように教えてやってるんだよっ!」
「余計なお世話でしょ! あんたのトコに嫁ぐ人は人生最悪地獄よね! あー、可哀想!」
「この嫁き遅れが、人の心配なんか余計なお世話だっ!」
「あんただって余計なお世話よっ!」

ギャンギャンと騒ぎ出した私たちの横で、杜博は楽しそうな顔をしてお茶を飲みながら眺めていた。 几鍔と私が息を整え始めると、杜博は咳払いをして話しを続ける。

「昨夜もそんな風に几鍔が苛めるから、夕鈴ちゃんは怒って俺と結婚するって勢いで言ったんだろう? 本当は仲がいいよな。 几鍔はあれだろ? 好きな子を苛めちゃうって・・・・」
「はああっ!? お前頭湧いてんじゃないのか? そんなんじゃねぇーよ!」
「・・・・・もう、いい。 几鍔の相手を止めて話しを戻す。 で、杜博の事情って何よ」

憮然とした顔で夕鈴は腕を組んだ。 面白くないと口を尖らせ二人の幼馴染を睨み付ける。

「親から押し付けられた許嫁が・・・・・・ 苦手で。 自分で見つけると言ったんだが、煩くて困っているんだ。 友達の結婚式に顔を出したのも、実は親から逃げているというか・・・・・。 だから、ごめんね。 夕鈴ちゃんを翻弄しちゃって」
「そ・・・・ そうだったんだ。 じゃあ、本当に私と結婚っていうのは冗談なのね」

組んだ腕から力が抜ける。 深い安堵の溜め息を吐くと 「そこまでほっとされると残念」 と言われるが、朝から怒涛の攻めを受けていた夕鈴は返事も出来ない。

「夕鈴ちゃんが今、バイトに命を掛けているのは判った。 青慎のことも大事にしているようだし、本当に苛めてごめんね。 でも一緒に出掛けたり、ご飯食べるのはいいか?」

驚いて杜博を見ると、几鍔が呆れた顔で立ち上がった。 「趣味悪いな・・・・」 と呟いたのは無視して、疑いの視線を向けると温和な顔で微笑まれてしまう。

「下町も久し振りだからさ、懐かしい場所とか一人で歩くより話し相手が欲しいなって」
「ああ、そういうことね。 夕飯の買い物がてらだったら良いけど、まだ洗濯も済んでないのよ。 二、三日中の空いた時間だったら付き合えるけど、それでいい?」

ついでに明玉の店に立ち寄って、莫迦な噂を撤回して貰おう。 四人目来たー! とか、私どれだけ悪女になるのよ。 ただでさえ王宮でも悪女扱いされているのに。 
あ・・・・・ 考えると落ち込みそうになる。

がくりと項垂れた瞬間、外から声が聞こえた。

「すいませーん、汀さーん。 いらっしゃいますかー?」

聞き覚えのある声に背筋が伸びる。 取り敢えず話は終わったと杜博と几鍔に帰って貰い、急ぎ玄関に回ると、やはりそこには桐さんがいて目を瞠ると口元に指を立てた。

「朝から忙しそうだが、気を引き締めろ。 ・・・・・・陛下が来るぞ」
「・・・・・・っ!! なっ、何で?」

瞠った目を更に大きく見開き、私が思わず驚きの声を漏らすと口に手が掛かる。 
慌てて声を飲み込み、桐さんを凝視すると眇めた視線が返ってきた。 
何を聞くんだ、判らんのかとでも言いたげで、黙したまま人の顔を見つめ返す。

「あ、あの・・・・・ バイトがちゃんと大人しくしているかを確かめに? お仕事ぎっしり、みっちり、いっぱいなのに? ・・・・・・李順さんが知ったら大変なことに・・・・・」

自分で言った台詞に怖気が奔る。 蒼褪めた顔に小さく嘆息され、涙目で見上げると桐さんの明らかに呆れた表情が見て取れた。

「お妃・・・・ お前が気になるんだろう? 浩大が爆弾を投下した上にお前が集まりで何を仕出かしたか聞いたらしい。 あと、変に考え過ぎているようだが、滞在が延びたのは間諜が後宮に入ったせいだ。 その件でも話しがあるのだろう」
「・・・・・・・・・間」

また口が塞がれたが、今度は小さな笑みを見せて桐さんが頭を撫でてくれた。 その仕草に涙が零れそうになったけど、違う意味でも涙が零れそうになる。
そうだったんだ。 バイトの首切りで実家に居ろという訳じゃないんだ。 まだ陛下の傍に居ても、戻ってもいいんだ。 陛下が下町に来るんだ・・・・・・・・・・。

「いっ、いやいやっ! だから、陛」

今度は強く口を塞がれた。 すいませんと目で謝るが、今度は冷ややかな視線で見下ろされ、私は黙って頷くだけにした。 兎に角、陛下が来る! 
陛下が下町に来ると何か面倒が起きそうで怖い。 浩大がどんな風に何を報告したのか解らないけど、杜博のことを如何にかしなきゃ、変に揉めるかも知れない。 

明玉の許へ急いで行って、早急、且つ迅速に 『下町の悪女』 の汚名返上をしなきゃ駄目だ!
これで李翔さんまで現れたら・・・・・・・・・・。 

私 『悪女』 決定だ。 







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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:09:09 | トラックバック(0) | コメント(10)
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2013-05-02 木 02:02:20 | | [編集]
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2013-05-02 木 02:13:50 | | [編集]
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2013-05-02 木 10:01:36 | | [編集]
Re: タイトルなし
ななすけ様、コメントありがとう御座います。長い突っ込み、誠にありがとう御座います。(笑) 几鍔はいい人です。それは判るんです。 判るし、いい思いをさせてあげようと、「溺れるものはナニを掴む」で酔っ払い夕鈴からのぎゅうを書きましたが、やはり可哀想な人ですよね(爆) 桐さん好きで嬉しいです。 underの陛下はいじめっ子です。 でもあっちの陛下も好き?
2013-05-02 木 21:25:44 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
aki様、コメントありがとう御座います。桐さん好きが多くて超嬉しいです。わーい、わーい!!そして、琉鴇皇子も出てきましたか!これもすごく嬉しい。桐さん絡みで陛下に焼きもちか・・・・・・。 オリジナルキャラですが、いいのでしょうか。(ドキドキ) 妄想しそうで困っちゃう~!
2013-05-02 木 21:27:45 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメントありがとう御座います。 寝れる時には寝て下さい。 きっと身体が求めているのですよ、睡眠を! と言うわけで次の回では陛下を寝かせましょうか。(笑) 結構、今回のコメントに桐さん関連が多くて、すごっく嬉しいです。 のんびり更新のunderにもお付き合い下さり、感謝感激です!
2013-05-02 木 21:30:27 | URL | あお [編集]
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2013-05-02 木 22:01:09 | | [編集]
Re: 世間ではそれをデートと言う…
ダブルS様、コメントありがとう御座います。そうですね、こっちでは糖度皆無って感じでしたから、underのべた付く甘さは・・・・ いえ、潤いには良いのでしょうか。 あっちもこっちもご覧頂き感謝です。 あちらはのんびりになりますが、また更新したらご報告させて頂きます。本当に手が遅くですまんです!
2013-05-02 木 22:15:43 | URL | あお [編集]
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2013-05-03 金 13:28:52 | | [編集]
Re: タイトルなし
aki様、コメントありがとう御座います。 オリキャラ好きと言って貰えると超嬉しいです。 さあ、妄想を膨らましましょう。エロくなってしまうかも知れないのが困りものですが。皇子絡みだと、どうもそういう方向になりそうで(笑)困りながらニヤニヤしちゃいます。
2013-05-04 土 12:00:23 | URL | あお [編集]
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