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多事多難  19
ラストー! やっとunderを更新できるぞ。 放置しっ放しで、あちらの方が焦れていると思います。 暫くしたら覗きに来て下さいませ。 いやー、この話しがこんなに長くなるとは想定外でした。 だらだらの話にお付き合い頂き、本当に感謝で御座います。


では、どうぞ














こめかみ近くに柔らかい・・・・ たぶん陛下の・・・・ を押し当てられ、夕鈴は目を瞠ってそろりと見上げた。 いつかの 『イヤガラセ』 をした時を彷彿させる嬉しそうな陛下の顔が見え、唖然として口を開けてしまう。

「首の包帯が取れたら夫として、そこに僕の印を付けたいな。 ・・・・・あいつが触れた場所は全部上書きしたいよ。 確か耳や頬を舐めたり? でも他の場所は如何したらいいのだろう?」
「・・・・いや、何が 『上書き』 だか解らないのですが? ・・・・・他の場所って?」

こめかみに手を伸ばそうとすると陛下に捉われ、何故か指先を舐められる。 
そこは舐めらていなかったはずと固まったまま自分の指を見つめていると、妖艶な笑みを浮かべた陛下が手を掴んだまま、自分の胸へと押し付けた。

「夕鈴は、あいつに・・・・・・ ここを触られていただろう? 私の妃が他の男に陵辱されたのだ。 出来れば其れを記憶から消し去るほどに上書きしたいと望んでいるのだがな」
「記憶から・・・・・・・・・」

赤から深紅へと変わりゆく兎を見つめながら、そろそろ限界だろうかと狼はほくそ笑んだ。
これ以上 『お仕置き』 を続行すると泣き出すか怒り出すか、それとも実家に舞い戻ろうとするだろうかと、駆け引きを楽しんでいると、唇をぎゅっと強く噛み締めるのが見えた。 
余りにも強く噛み締めているから、このままでは噛み切ってしまうのではないかと慌て出すと、夕鈴に涙をいっぱい湛えた目で見上げられ躊躇してしまう。

「・・・・下町で何処かに連れ去られそうになったところを助けて頂き、大変感謝しております。 ・・・・で、でも、それとこれとは別だと思うんです。 へ、陛下があの時、強く・・・・ 抱き締めてくれたから、もう・・・・ 忘れられると・・・・・ 忘れようとしていたのに」

胸に押し付けた夕鈴の手がガタガタと震えているのが判る。 
もしや、これはかなりヤバイかなと陛下が焦った瞬間、夕鈴がぽろりと涙を零しながら僕の胸を押し出した。 よろりと立ち上がった夕鈴はいつの間にか蒼白になっていて、戦慄く唇ではくはくと息をしている。 同じように蒼白になった陛下が夕鈴に落ち着くよう伝えようとする寸前、戦慄く唇から悲痛な叫び声が。

「りょ、陵辱された妃は・・・・・ クビでしょうかー!?」
「ええー!? そう来るか? あっ、いや! 夕鈴っ、声大きいっ! ご、ごめん! そういう意味じゃないんだ! ただちょっと夕鈴を」
「私、クビですかっ? 不潔ですかっ? もうバイトは打ち首ですか? 迷惑ばかり掛け続ける、陵辱された不潔なバイト娘は即行クビですかーっ?」
「そうじゃ・・・・ 夕鈴、ここ外だから・・・・っ!」
「う・・・・ うぁあああんっ!」

浅沓も履かせずに抱き上げて来たから、裸足のままで走り出した兎は案の定、直ぐに砂利石に痛みを感じて前のめりに倒れそうになった。 兎の叫び声に驚いた桐が茂みから急ぎ掬い取るように抱き上げると、夕鈴はぐじゅりと顔を歪ませる。

「き、桐さぁん・・・・っ!」
「人払いしてあるとはいえ、官吏も通る回廊近くの四阿だぞ」

桐に窘められたが夕鈴は泣きながら 「だってぇ!」 と涙を散らし、屋根から降り立った浩大がニヤニヤしながら 「降ろす訳にいかないよな、沓無しじゃ」 と呟いた。
闇色の背景を背負った陛下が無言で近付いて来ると、桐の腕の中の兎は大暴れし始めた。
桐が面倒だとばかりに陛下に兎を引き渡そうとすると 「ヤダァ!」 と叫び夕鈴はその腕にしがみ付く。 浩大が爆笑する中、陛下は引き剥がすように夕鈴を奪い取ると、そのまま後宮奥の庭園へと足早に消えて行った。

「・・・・・もう、面倒だから襲ってしまえばいいものを・・・・・」
「あの兎に? あのヒネクレタ狼が? それ超面白いな! お、今度こそ賭けるか?」
「今回も賭けの結果など出るはずも無い。 李順殿がそろそろ迎えに来る頃だろうからな。 それより杜博なる人物が脱走したと聞いたが、その後の行方は知れているのか?」

後頭部に腕を回した浩大は 「いんや」 と即答。 軽い口調だが、その目は笑っていない。

「一応国境や港を調べるよう伝達はしたけど、既に国外逃亡したかも。 かなり足が速い奴だからね~。 まあ、今更お妃ちゃんを如何こうしようとは思わないだろうけどさ。 それにお妃ちゃんがバイト妃って最後まで知らず終いだったしな」
「そうみたいだな。 下っ端妃だから口封じに遭うとか、捨てられて闇に葬られるとか。 狼陛下の印象は最悪だな。 お妃に惚れただけに、かなり心配していたんだろう」

浩大がケラケラ哂いながら 「陛下にはいい刺激になったんじゃね」 と嘯くのを、桐も薄く哂いながら頷いた。 今は暴れ泣きじゃくる兎を狼はどんな風に宥めるのだろうと興味が湧くが、近付くだけでトバッチリが来ることは間違いない。 
「今の内に休憩しておこうぜ~」 浩大の声に桐も頷いて姿を消すことにした。







「も、申し訳ありません! でも、あれは、あんなコトされるなんて私だってっ!」
「ゆーりんっ! 違うから、大丈夫だから! クビにならないから落ち着いて!」

腕の中で暴れる兎は肩やら頭やら顔に手や膝を押し当て、必死に逃げ出そうと抗い続けた。 言葉を間違えたと思った時には既に遅く、抗い続ける兎に狼の心臓はバクバクしている。

「これって自分からクビを申し出た方がいいんでしょうかーっ!!」
「ごめん、夕鈴っ! 違うから、クビにならないから、お嫁さんでいて欲しいからっ!」

僕は全身を使って暴れ続ける兎をぎゅううっと抱き締め続ける。 暫くすると暴れていた兎が震え始めたから、何度も 「クビじゃないから」 を繰り返し続け、漸く落ち着かせることに成功する。

「あのね、そんなことで夕鈴をクビにはしないから大丈夫。 それに夕鈴が触られたのだって、望んでされた訳じゃないし、ね?」
「・・・・バイト、続けて大丈夫ですか? 陛下、厭じゃないですか? 本当にクビじゃないですか? ふ・・・・ 不潔とか思わないですか?」
「思わないよ。 ・・・・本当に思わない。 ・・・・すごく赦せないけど、それは夕鈴に対してじゃないから安心してね。 それより僕に抱き締められて忘れることが出来たって、本当?」

腕の中で夕鈴が大きく強張ったのを感じた。 ああ、また余計なことを聞いちゃったかな?
此処はひと気の無い後宮奥の池畔の四阿。 周囲には誰も居ない。 君に謝罪をする狼陛下も許しを請う国王も、ここなら見られることは無い。

「ここまで苛めるつもりは無かったんだけど、夕鈴が方淵とか杜博のことばかり心配しているから、つい意地悪を言ってしまった。 本当にごめんなさい。 もし君が望むなら、赦してくれるなら、この場で直ぐに土下座でも額突くことでもするから」
「そっ、そんなこと望んでいません!」

胸の中で首を何度も振るけど、顔を上げてくれない。 僕は四阿の卓に夕鈴を下ろし、頬を掴んで顔をそっと覗き込んで見る。 哀しげな涙で濡れた顔を目にして胸が痛くなり、どうしようかと思案していると夕鈴がぽつりと呟いてきた。

「陛下は・・・・ 上書きしたいと望んでいると、先ほどおっしゃってましたよね」
「あ、いや。 本当に、それは・・・・・」
「それって、杜博みたいに・・・・ ってことですか?」

潤んだ瞳が僕を直視する。 その顔はただ真っ直ぐに僕を見つめているのが判り、溺れそうな眩暈を覚えた。 そうだと言ったら、君はどうするつもりなんだろう。 
まさかとは思うが、本当に 『上書き』 させてくれるという事なのだろうか。

「夕鈴・・・・ 僕が・・・・ そうだって言ったら・・・・ 如何するの?」

ああ、口から思わず零れ出てしまう。 下手なことを言うと胡乱な視線で見つめられる切ない日々が襲ってくるじゃないか! 何故、こんなことを!

「陛下・・・・・・」

濡れた唇が眼下に見える。 最近は寝台で寝てばかりいたから (僕の厳命で) 今の君は夜着の上に羽織を一枚着ているだけ。 少しずらしただけで鎖骨が見えてしまうだろう。 
いやいやいやいや・・・・・。 そんな煩悩は急ぎ振り払わなければ! 
僕が必死に妄想を追い出そうと努力していると、夕鈴の手が僕の手に触れて来た。
ぽろりと零れた涙が頬を伝い、頤に流れる様から眼が離せなくなる。






 

「あんなにぎゅうっと掴まれると、すごっく痛いんですよ?」

へ? 

羽織の襟を寄せた夕鈴は 「男の人には判らないでしょうが」 と僕を睨み上げて来た。 
口がへの字になり、ブツブツ言い出した夕鈴は 「一瞬、首の痛さも咽喉の痛さも忘れるくらいに強く掴まれて、頭真っ白になりましたから!」 と怒りを沸々と口から紡ぎだす。

「男の人だって急所があるでしょう? 同じだと思って下さい! それとも、それが 『あとで覚悟が必要』 のお仕置きだとおっしゃるのですか? やっぱり覚悟しなきゃいけないんですか?」

泣きながら睨み付ける夕鈴からの攻撃。 ああ、やっぱり君には敵わない。

「違うよ、夕鈴。  う、ん・・・・・。 痛かったんだ」
「・・・・痛かったです、し、すごく厭だった・・・・です。 あんなの望んでないのに、勝手に連れ出して首絞めて、爆薬で武器で皆を傷つけて、厭だった」

でも、と掠れた声で君が続ける。 音も無く零れる涙が頬を伝い、頤から滴り落ちていく。

「でも・・・・ 信じたかったです、幼馴染だから。 こんな風に別つなんて思いもしなかった。 杜博の仕事なんか知らずに、久し振りに会って懐かしいねって、それだけが良かったです」
「うん、そうだよね。 ・・・・・いいんだよ、夕鈴。 君らしく君が信じるものを信じ続けることは悪いことじゃない。 僕もそれに、そんな君に何度も救われているから」

卓に乗せた君を抱き上げる。 するりと夕鈴の手が首に回り、鼻を啜り上げる音が耳に届く。
背を撫でながら僕は深く息を吐き、浅ましい考えと言葉で夕鈴を翻弄した自分を恥じた。

「さ、寝台に戻ってまた休もうね。 お仕置きも終わり。 逆に僕がお仕置きを受けちゃったし、もう意地悪もしない。 ・・・・・・・・首の傷が治った後の印は別だけどね」
「へ、いか。 最後何て言ったのですか? ごめんなさい、聞こえなかったです」

そこは聞こえないままでいて欲しいと苦笑を漏らすと、途端に訝しむ視線が投げ掛けられる。 
これ以上突っ込まれることは勘弁と、君が翻弄するほどの妖艶な笑みで凝視すると、真っ赤な顔になった夕鈴は視線を彷徨わせ出し、僕の肩口に顔を伏せた。

「・・・・本当に陛下はずるいですよね」
「んー、そうだね。 でもそうさせているのは夕鈴だって自覚して欲しいな」
「・・・・・? 意味が判りませんが」

その後は幾ら問い掛けても陛下が答えてくれることは無かった。



数日経過し、首の傷もうっすらと赤味だけを残すだけとなった頃。 そろそろ政務室に妃として顔を出してもいいか、李順さんと相談をして部屋に戻ると、卓の上に一枚の紙が置かれていた。 
平たい石を文鎮代わりに置かれた紙に心当たりが無く、周囲を見ると窓から薫風が入り込んでいる。 用心を重ねている今、何か違和感を感じて直ぐに侍女を下がらせた。

「・・・・・浩大、いる?」
「お妃ちゃん、菓子でもあるのかぁ? ん・・・・・・・それって」

飄々とした表情がすぅっと変わる。 私を手で制して石を持ち上げると紙面を凝視し、小さく息を吐いてから紙を渡してくれた。 その後浩大がブツブツと何やら不穏な空気を醸し出しので、慌てて紙面に目を落とす。 そこには見たことの無い字体で、短い文が書かれていた。

『噛み付かれた痕が消えるまで君を強く想う』 

思わず肩から力が抜け、浩大を見ると面白くなさそうな顔で歯噛みしている。 再び警護すべき場所に容易に入られてしまった事実に苛立っているようで、私に振り返ると 「お菓子ない?」 と甘えてくる。 困ったものだと、今は何処にいるのか判らない嘗ての幼馴染に苦笑すると、背後から伸びてきた手に紙を攫われた。

「・・・・・警護兵たちの教育をし直さなければならないな。 禁軍将軍を呼び出しておくよう李順に伝えよ、狼が自ら指導してやるとな。 全ての隠密にも伝えおけ」
「いいけどさ、政務が滞るって怒られ・・・・・。 はい、はい。 御意」

陛下の手の内で紙がクシャリと歪んで握り潰されるのを、夕鈴は黙って見ていた。
王宮の奥、後宮の妃部屋の卓上に手紙を置くなんて、本当に身体能力が見込まれただけあるのねと違った方向で感心していると強く頤を持ち上げられる。 
グギリッと音がする勢いで上を向けられ、痛さに目を瞠ると紅い双眸が見下ろしていた。

「我が妃は何故、そんな風に嬉しそうなのか、じっくりと問い質したいのだが?」
「うれ・・・・ しそうになど、しておりませんわ・・・・・」
「我が妃の部屋へ足を運ぶとは・・・・・。 今日から褥を共にしようか?」
「そ、それは・・・・・ む・・・・ むり・・・・・」


こんなに災難ばかりが降って来るなんて・・・・・ 如何してなのだろう? 
問い詰めながら私を囲うように覆い被さって来る狼から、どうやったら逃げられるのかしら。
目の前の狼から視線を外し窓を見ると、何処までも抜けるような青空が広がって見えた。

神様・・・・・・! この多難はいつまで続くのでしょうか!







FIN



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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 02:00:19 | トラックバック(0) | コメント(12)
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2013-05-12 日 02:25:30 | | [編集]
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2013-05-12 日 02:55:03 | | [編集]
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2013-05-12 日 06:55:49 | | [編集]
Re: タイトルなし
aki様、コメントありがとう御座います。予定より長くなるのはどうしようもない癖です。 兎に角夕鈴に多難を。 でも最初は此処までひどくなる予定ではなかったのですがね~。 桐さんの夕鈴抱っこ。 うんうん、陛下焼きもちどんと来いです。(にやり) 次回も宜しくお願い申し上げます。
2013-05-12 日 15:15:00 | URL | あお [編集]
Re: 憐れ……
makimacura様、コメントありがとう御座います。夜中に雄叫び、ありがとうです! under更新はちょいと時間を貰います。何処まで書いたのか、何を妄想していたのか頭の中から引っ張り出さなきゃ・・・・・(爆) 出来るだけ早く見て頂けるように頑張ります。
2013-05-12 日 15:16:57 | URL | あお [編集]
Re: 襲う狼に1票!!
ダブルS様、コメントありがとう御座います。夕鈴の「お兄さん」 そっかー。 そういうポジションもありですね。 大ちゃん居るからいいかと思っていた。 せめて「親戚」を付けちゃいましょうか。 乳房へのタッチは・・・・・・ 本誌で頑張って貰いましょう。 バイト兎に手を出せるか、狼! 応援はしたくなりますけどね。
2013-05-12 日 15:19:07 | URL | あお [編集]
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2013-05-12 日 15:41:43 | | [編集]
Re: タイトルなし
カノン様、コメントありがとう御座います。 盛り沢山の長い話ならいいのですが、途中だらけてしまう時があるので、あとで激しく落ち込みます。ここ、いらんやんっ!と一人突っ込みしたりして。(Mだわ~) パラレル白陽国はバイト夕鈴に戻る流れです。 が、そう謂われると・・・・・ あああ、お時間頂きます。 すごっく遅くなる・・・・・ です。 忘れた頃・・・・・ です。 きっと。
2013-05-12 日 16:09:00 | URL | あお [編集]
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2013-05-12 日 21:37:29 | | [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメントありがとう御座います。 すごい褒め言葉の羅列に眩暈が・・・・。 ウルウル。 先ほど帰宅した子供にケーキのプレゼントを貰い、うきゃうきゃして食べたところです。 妄想いっぱいで詰めまくりすぎ、夕鈴が酷く可哀想な話になりましたが、楽しんで頂けたなら幸いで御座います。 また次も宜しくお願い申し上げ候。
2013-05-12 日 22:07:25 | URL | あお [編集]
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2013-05-12 日 22:13:21 | | [編集]
Re: タイトルなし
慎様、コメントありがとう御座います。桐さん「お兄ちゃん」が増えました。そのポジションですかー。ドS様が増えたと思っていたのですが、皆さん、S好きですねー(わたしもかー!) 今回も読んで頂けて感謝です。 ありがとうー! さんきゅー!
2013-05-12 日 22:57:08 | URL | あお [編集]
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