スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
Please forgive me.  2
短編から一変、暗い話にお付き合い頂き感謝で御座います。 
実はこの話。 あれだけunderで頑張っている陛下なのに、懐妊しないのは如何してですかと問われ、ずっと悩んでいた話です。 いや~、これ以上キャストが増えると自分が大変だと思って、好き放題陛下にさせていたんですが、ご心配頂きまして、なんか照れちゃいます(笑)

では、どうぞ














君を後宮だけに閉じ込めるつもりはない。 
君が君らしく居られる場所を、君自身が作り出すことには僕も同意するし賛成だ。 
だけど、ここ最近、君は自信という輝きを増し、知らぬ間に官吏らの注目を浴びている。 
今まで通り政務室や書庫に顔を出し、いろいろなことを見聞きしているから、簡単な相談や季節の宴について質疑応答も出来るようになり、官吏らとより親密さが増えた。 
李順は 「多少の緩和になっているから官吏も助かっている様子で結構」 とに気にもしないようだが、目にする僕は気が気じゃない。 

本来なら後宮から出ずに陛下だけに愛でられるべき存在。 
だけどそれでは君らしく過ごすことが出来ないだろうと、未だ掃除をすることや政務室、書庫への渡りを許可している。 それで君が何かを見つけることが出来るなら、それがいいと。
書庫や政務室で君を見かけるたび、僕に嬉しそうに微笑を浮かべる姿を見ることが出来て、僕も癒されるから、それはそれで嬉しいのだが、その笑顔を他の奴らも見ている事実が癪に障る。

君が大事だからこそ、君を縛れない。 縛り付けることも出来ないほどに、僕は君に溺れている。 それをいくら君に伝えても伝えきれないだろうと、苦笑さえ漏れる。


「へーかぁ、ちょいと時間大丈夫かい?」

浩大が窓から顔を出す。 また偵察に忍び込んで来た間諜の報告かと顔を上げた。 今日の鼠は何匹だったのだろうか。 季節の変わり目になると鼠や鼬が多く入り込み、駆除に苦慮する。

「・・・・・という訳で、捕まえた奴らは刑吏に引渡し済みだよん」
「引き続き進入経路をいくつか空けておけ。 出入りが多くなると、それだけ忍び込む輩が多くなり、余計な仕事が増えるな。 面倒だ・・・・・」
「ん~。 あとさ、話は変わるけど、新しく妃を迎え入れるって本当か?」
「・・・・・何だ、それは?  それは耳にしていないし、もちろんその気はない」

そうだよねー と哂う隠密を睨み上げると、口角を持ち上げ眇めた視線を落とされる。

「お妃ちゃんにさ、それをちゃんと伝えないと後で苦労するよ」
「それは最初に伝えてある。 そんな話しは私の耳に届いていないし、その気がないことは大臣らも承知のはずだ。 私自身その気がない噂に、夕鈴が憂いているというのか? 先日会った時、そんな話しも感じでもなかったが」
「お妃ちゃんが言う訳ないだろう? 夫婦間のことまで口出しはしないけどさ、話し合いって必要じゃないかなって。 へーかの耳には届かずとも側近には届いているんじゃね?」
「・・・・・・まだ妃献上を推し進めている輩がいるというのか」

凝りもしないことだ。 あれだけ后は夕鈴だけと公言しているにも拘らず、裏で画策しようとする輩が後を立たぬというのか。 それに夕鈴が心を痛めているというなら御門違いもいいところだろう。 それとも、愚かしい臣下の言葉に惑わされ、彼女が私の言を疑っているということなのか?
この間会った時は、星離宮の話で随分楽しげにしていたが。

ふと女官長から聞いた、塞ぎ込むことが多いという言葉を思い出す。 それならば夕鈴から何か言ってきそうな気がするが。 いや、夕鈴なら逆に溜め込む方か。 
私に余計な心配を掛けまいとして? 

「まあ、時間を作ってよーく、お妃ちゃんの顔を見てみろよな。 これ以上は夫婦の問題だけど、お妃ちゃんが倒れる前に、実家に連れ帰ることもオレは厭わないよん」
「そんなことは赦さない。 ・・・・・判った。 早急に時間を作る」

唇を噛み締めて浩大を見上げると、冷ややかな笑みで部屋を出て行った。 
その含みのある浩大の笑みに苛立ちが湧き上がる。 

夕鈴は一体何を隠しているのだろうか。 自分ではなく、浩大に何かを相談したというのか。 
夫である私の公言を信じずに、何を悩んでいるというのか。 大臣らが何を言っても、真に私の言を信じていれば塞ぎ込む必要はないはずだ。

楽しげに星離宮の話しをして、笑みを浮かべていた夕鈴を思い出す。 
妃献上の話に憂う必要などないと、私がそんなことは赦すはずがないと、それを充分判っていると思っていたのは、私だけなのだろうか。 一体何に対して塞ぎ込んでいるというのか。






数日間は謁見に忙しい陛下は政務室に顔を出す暇も無いと聞き、夕鈴は立ち入り禁止区域で掃除に勤しむ毎日を過ごしていた。 
余計なことを考えずに、今は殆ど物品庫と化した場所の掃除をする。
嘆息を零すところなど、普段政務に忙しい陛下に見せるべきではない。 

それに今日は予定していた業者が裏門にそろそろ来る時間なのだ。 嘆息吐く暇もないのが現実。 夕鈴は、女官や侍女には見せられない掃除婦姿で朝から走り回っていた。

「桐さん、その箱は重いけど、こっちに運んで下さい。 お願いしまーす」
「これも業者に売り渡すのか? そっちの箱と一緒か?」
「そうです。 それは手鏡とか笄、簪が入っているんです。 こっちは李順さんから許可が出た茶器です。 もう少しで業者の人が来ますから、急ぎまーす!」
「退宮する際、置いていった品々か。 職人技による一点物ばかりだな。 結構良い値になるだろうな。 全部いいのか、売っちまって。 売って財政難に当てるのか」

頭に手布を巻いた桐が忙しげに夕鈴と箱を運び続けている。 後宮立ち入り禁止区域の裏門に来る業者に高値で買って貰えるよう、この後急ぎ后衣装に着替えなきゃならない。

「財政難にこれくらいでは足りませんよ。 これは養護施設に送るんです。 今、私定期的に文通しているんですよ。 仲の良い子たちがいて、その子たちの学費に当てます」
「陛下が妬かないか?」

その言葉に夕鈴は大笑いした。 みんな十歳に満たない子達ばかりだ。 陛下が妬く必要もない。 そこを出た子達とも文通をしているが、いつも笑顔で一緒に読んでくれている。 
陛下は・・・・・・・・ きっと良い父親になれる人だ。

「妬きませんよ。 そんな度量の狭い人ではありません」
「・・・・・知らぬは本人ばかりか・・・・・。 お后、これも運ぶのか?」
「はい、それもです。 お願いしまーす!」

頬を一つ強く叩き、夕鈴は荷物を運び終え、急いで着替えに走った。 

互いに胸の内を素直に伝えることが出来るならいいが、自分の夫は国王陛下であり、国のために日々邁進されている尊き御方。 後宮の些事に関わらせることは、してはならないと夕鈴は思っている。 それは後宮を管理出来ていないという、后としての失策を露呈するだけだ。 まずは今出来ることを地道にするしかない。

跡継ぎや妃献上に関しては、忙しい時期が終わってから改めて時間を設けることにして、目の前の業者に少しでも高く買い取って貰えるよう交渉することが先決だ。
 


「お妃ちゃん、なんか病気になりそうだな。 溜め息ばっかりでさ、気鬱にならない?」
「浩大、久し振り? ・・・・・そういえば近隣の国を回っていたと聞いていたけど、帰って来ていたのね。 お疲れ様です。 風邪、ひかなかった?」

卓で売上金を計算していると、窓から姿を浩大が入り込んで来た。 疲れ切った顔の夕鈴を見ると、いきなり眉間に皺を寄せて嘆息した。

「オレが戻って来て二週間だよ。 ぼんやりしてるよな。 まあ多事あって一週間くらいはお妃ちゃんに姿を見せてなかったけどさ。 取り敢えず、ほい、お土産」

浩大から手渡された品は下町で良く見かける揚げ饅頭。 まだ温かい湯気が立ち、顔を上げると浩大が早速食べ始めていた。 夕鈴も苦笑しながら食べ始め、口に広がる甘さと温かさに、一気に疲れが表面に現れる。

「浩大が昼間いてくれたら、荷物運ぶのがもう少し楽だったのにぃ」
「あー、桐から聞いたよ。 で、高く売れたのか? その顔は・・・・・ 駄目?」
「うん、思った値段にまではもっていけなかった。 私も頑張ったんだけど、あの業者、プロよ。 でも掃除ついでだから仕方ないけどね。 あとで送金して貰えるように李順さんにお願いして来るわ」

あとは別業者に引き渡す壷や鏡台、長椅子などが幾らで売れるか、交渉に頑張るわと笑みを浮かべると、浩大が困った顔で夕鈴を見つめて来た。 その表情に困惑しながら饅頭を口に含むと、大きな溜め息を吐き 「面倒なお方たちだ」 と呟かれた。

「面倒って・・・・・ 安く買い叩く業者?」
「あんたら、ご夫婦だよ。 言いたいことも言う時間がないのか? お妃ちゃんが悩んでいること、何でちゃんと陛下に相談しないんだよ。 妃献上なんて陛下は知らないって言っていたぞ!」

その言葉に顔を強張らせた夕鈴は、何と言っていいのか一瞬戸惑った。 怒ったような顔の浩大をじっと見つめ、ゆっくりと肩から力を抜き、もう一口饅頭に齧り付く。

「陛下のお耳にまで話しが届いたのか。 じゃあ、ちゃんと話をしなきゃ、ね」

でも、今は忙しいからと前置きし、ちゃんと自分から話す気でいたことを浩大に伝えた。

「上手く言える自信がないけど、このままじゃいけないのは判ってるのよ。 で、浩大」
「あー、それ以上は夫婦間の問題だから、オレに相談しても無理だよ?」
「わかっている。 だけど壁相手に愚痴を言っても落ち込むばかりで。 だから、相槌だけでもいいからしてよ。 侍女や女官の前では言えないもの・・・・。 言っちゃ駄目だもの・・・・・」
「陛下に言えばいいじゃん」

あっけらかんと返答され、「だから今は忙しいと言っているじゃない」 と睨ね付ける。 
それでも浩大にまで心配させてしまって、バイトの時から成長してないなと笑うしかない。 

「・・・・陛下は私が言った言葉に何と答えるか、怖いんだよね」
「へーかは、お妃ちゃんの気持ちを大事にするだろうさ。 あーっ! 全く、本当にあんたらは見ててイライラする時があるよ」
「ごめんね。 判ってるの。 陛下は他の妃を娶らない、そんなことしないって。 だから、私が言わなきゃ駄目だって。 だけど、言いたくない気持ちが・・・・・・・・」

饅頭を潰さんばかりに握り締めて、夕鈴は唇を震わせた。 涙を浮かべた瞳は空ろに床を眺め、その様子に浩大は驚いた。

「お妃ちゃん、何を言うってさ。 あれ? 妃献上の話で落ち込んでいるだけじゃないのかよ。 陛下が知らないから、断るって言わないから落ち込んでいるだけじゃないのか? ちょ、ちょっと。 頼むから、泣かないでくれよ~!」

ぱたぱたと軽い足音が聞こえ、顔を出したのはやはり老師。 憔悴しきった夕鈴を見ると途端に顔を顰め、 「何じゃ、まだ悩んでいたのか!」 と漏らした。

「ろ、老師ぃ・・・・・。 言わなきゃって、話をしなきゃって思うけど・・・・。 やっぱり言えないんです。 后失格です。 ど、しよ・・・・。 判っているのに、厭なんです」
「まだ陛下と話をされていないのか! うぬぅ・・・、ワシから話すしかないのか・・・・」
「じぃちゃん!? 他の妃を娶れってじぃちゃんも言うのかよ!」

珍しく浩大が不快感を表して老師に荒い言葉を使う。 夕鈴は首を振り、長く息を吐いた。

「浩大、ごめんね。 ・・・・・本当は自分でも判っているの。 誰もが言い難いことだもの、私が言うのが一番いいのかも知れない。 どんな形でも陛下を支えることが出来るなら、納得するしかないでしょう。 片側からしか見ないのも了見の狭いことだよね。 后として出来ることは沢山あるんだし、浩大の気持ちも嬉しいし」
「いや、そーいうことじゃないだろ? 実際、厭なんだろ、お妃ちゃんは!」

持っていた饅頭を口いっぱいに頬ばった夕鈴は、思い切り咀嚼しながら浩大を見上げた。

「らいじょーぶ。 ぐちをいったら、らくになったから!」
「いやいや、まずは陛下と話をするんじゃ! ワシからも直ぐに伝えよう。 お主がここまで悩んでいるとは考えもせんかった。 もう、我慢も限界じゃ! ワシを何だと思っているんじゃ!」
「じぃちゃん? 我慢って?」

老師はやおら背筋を伸ばすと、血圧は大丈夫ですかと心配させるほど真っ赤な顔色で、立ち入り禁止区域から驚くほどの速さで駆け出して行った。 それには夕鈴も浩大も驚き二人で顔を見合わせるも、老師の言いたいことが判らず、首を傾げるしかない。

「・・・・・・オレ、侍医を呼んでおこうかな」
「うん・・・・。 そうしておいて」

高齢者の憤りほど、周囲を心配させるものはない。







→ 次へ



スポンサーサイト

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

もしもシリーズ | 22:22:22 | トラックバック(0) | コメント(14)
コメント
この後の展開が気になる~!浩大&桐さん登場ですねぇ(°∀°) 浩大は何かもしもシリーズではかなり夕鈴に対して愛にも似た気遣いがある様に感じます☆桐さんが当初は口調が優しかったのか、もしもシリーズの初めに出てくる時は、浩大のことを、さん付けや口調もやや丁寧だったので、口調が変わったことに違和感があったのですが、今は長編に出てくる辛辣な発言口調がクセなるほど好きです♪
2013-05-21 火 23:00:36 | URL | [編集]
Re: タイトルなし
コメントありがとう御座います。桐さんは口調が段々「S様」になってきて、アワアワしています。もう軌道修正が無理なので、このまま「S様」で突っ走って貰います。 とほほ。 何故、そんな子になってしまったのか、たぶん私がアホなんでしょうね。 このままでいいと仰って下さってありがとう御座います。心の澱が流されますわ。
2013-05-21 火 23:08:08 | URL | あお [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-05-21 火 23:40:48 | | [編集]
Re: 空回り…?
ダブルS様、コメントありがとう御座います。あー、桐さんは・・・・。 すいません、無理やり出しました。当初考えてなかったのですが、出したいと思って荷物運びに出しました。(笑) そういえば、老師って年齢不詳? ぎっくり腰になるけど、基本お元気ですよね。離宮では壷に入り込んでいたし、窓から逃走しましたからね。・・・・・考えると、すごいっす。
2013-05-22 水 00:11:54 | URL | あお [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-05-22 水 00:16:44 | | [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-05-22 水 00:24:13 | | [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-05-22 水 00:41:58 | | [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-05-22 水 07:58:19 | | [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-05-22 水 17:25:46 | | [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメントありがとう御座います。桐さんはちょい役。あとでまた登場させます。ここで半分。残りはあの人を落とし込もうと思っております。マリアナ海峡よりも深く。(笑)海が割れるよりも、落とし込むほうが楽しいです。
2013-05-22 水 18:09:03 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメントありがとう御座います。いえいえ、桐さん、ちょい役で申し訳御座いません。ここらまで来るとネタばれなので、さくさくいくつもりで御座います。次の妄想もお待ちで御座いますので、宜しくお付き合いお願い申し上げます。
2013-05-22 水 18:11:10 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
aki様、コメントありがとう御座います。浩大大好きなので、いつもいい役にしちゃいます。ブラック大ちゃんって・・・・・ 想像すると、どうでしょう。頭に浮かんで来ません。考えるのも楽しいか? ドキドキ。 桐のSはドS希望ですか。うん、流石で御座います。辛辣な物言いがお好みとは、なかなか・・・。ぷぷ。
2013-05-22 水 18:13:18 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ちゃこ様、コメントありがとう御座います。おお、ここで老師応援が。ありがとう御座います。大兄ちゃんの愛は私の思いで御座います。大ちゃん、好きなので。 陛下のうっとうしい愛も好きですけど、さりげない大ちゃんがどぅわい好きです!!!!
2013-05-22 水 18:14:43 | URL | あお [編集]
Re: forgive……
makimacura様、コメントありがとう御座います。 今回は題字からしてネタばれしてますよね。どっちがそれを言うか。 ここでは陛下でしょー!(爆) underでは・・・・・・・・・・・・。 ああああ。書きたくなるから困ります(汗) 他でも書きましたが、ここまで来ると皆様ご理解くださっているので、さくさく進ませます。お付き合いお願い申し上げます。
2013-05-22 水 18:17:14 | URL | あお [編集]
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。