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焼きもち大作戦?  6
終了です。この回は李順さんがメイン? オチは・・・。
もっと盛り込んで・・とも思っていたのですが、今のあおにはこれが限界っす。勉強しなきゃ!



では、どうぞ












「さあ、夕鈴殿。詳細を聞かせて頂きましょうかね」

眼鏡が輝くように光る。
恐ろしさの余り全身の震えで口も利けない夕鈴。李順の背後から黒いオーラが立ち上がり包み込むようだ。 夕鈴は心臓を鷲掴みされたようにパニックに陥っていた。

「李順、話し合いは上手くいったのだから良いだろう。 夕鈴だって頑張ったんだし」

のんびり夕鈴を庇う陛下に、きっと顔を向けて叫ぶ。

「陛下!! 夕鈴殿が何を頑張ったというのですか? 縁談をぶち壊し、使節団長を呼び出し 妃として品格の無い行動をしたんですよ! 勝手に皇女と結託するし!! それに後宮から妃がウロウロウロウロと、歩き回るなど言語道断です!」

ガタガタと震えながら、頭上から降り注ぐ李順の怒声を受け止める。
その通りです、申し訳ありません、と小声で呟くも李順には伝わらない。

「李順、縁談はもとより断るつもりだったし、鉱山の件も良い条件での流通を確保出来た。 塩や穀物なども良い条件の内約が取れた。 他に問題があるのか」

狼陛下がじろりと李順を睨み付ける。
少し怯んだ李順だが此れだけは言わせてくれとばかりに陛下を睨み返した。

「協議結果は上手く取り付ける事は出来ましたけど、一国の皇女と唯の妃が会うなど有り得ないでしょうが! 遙智国国王からの縁談を済崩しにしてしまったのは夕鈴殿です。 バイトとしての立場を逸脱しています!」
「だが、曽填功と皇女は想い人同士。 これからも国交に関しては尽力を尽くしてくれよう。 あの国の現在の皇太子は体が弱いし、姉らは他国に嫁いでいる。 皇女香雪殿が跡を継ぐだろうとの噂があるのを知らないのか? ああ、浩大から其の情報が来たのは先刻か」

場にそぐわない穏やかな笑顔を湛えた陛下を見て、李順が盛大な溜息をついた。 
狼陛下の穏やかに見える冷やかな笑顔。 
こういう時の陛下に何を言っても上手くかわされるだけと知ってはいる。 二人の熾烈な会話についていけない夕鈴は、部屋の中で小さくなっているしかない。
が、陛下から聞こえたその台詞の内容に、思わず顔を上げる。

「では香雪様が遙智国跡継ぎと!?」
「今の皇太子の正妃が男子を産めば話は変わるだろうがな、正直難しいらしいぞ。 ああ、あと正妃の親は国王の従兄弟。 国王警備隊長の填功の父親とは兄弟。 親戚同士で跡継ぎの件は上手く纏まるような気がするが---」

思わずその言葉に夕鈴の表情が変わる。 陛下がすぐに気付き、笑顔で頷いてくれる。

「だから夕鈴が気にすることはないんだよ。 二人の為に頑張っただけ」
「陛下・・・・ 本当?」
「うん。 二人の未来を祈ってあげて。 落ち着いたら逢いに来るって言っただろう」

ほっとして夕鈴の肩から力が抜けた。

「よか・・・・ た。 陛下、私祈ってます。 香雪様と填功様のことずっと祈っています。 私、最後にあの二人に逢えて良かった・・・・・」
「夕鈴、バイト終了の件は考えて欲しいって言っただろう」

安堵の顔で陛下を見上げる夕鈴は綺麗だった。 心からの笑みが彼女を輝かせている。

「私、あの二人の幸せな顔を見れただけで、もう充分です」
「夕鈴! 私の妃は君だけだと何度・・・・・・・」
「ごほん!!!!」

夕鈴を抱き寄せようと近付いた陛下の背後から、大きな咳払いが聞こえた。
李順の存在を一瞬で頭から消していた陛下が舌打ちをする。

「なんだ、李順。 夕鈴の借金返済とバイト期間終了は別物だろう。 縁談は立ち消えたんだし、このまま夕鈴が妃を続けて何の問題がある?」

眼鏡を指で静かに持ち上げた李順は陛下を見た後、夕鈴を勢いよく睨み付けた。 「ひっ!」 と姿勢を正し夕鈴は震えながら李順から吐かれるであろう呪詛を待つ。


「・・・・夕鈴殿、縁談の件は仕方ありません。 皇女にその気が無かったのですから。 使節団長曽殿とのことも皇女が関わっていたことですので小言は我慢します」
「・・・え?」

驚いて瞳を見開き、李順を見る。
蒼褪めた顔で立つ李順から 「仕方ない」 「我慢する」 なんて言葉が出てくるなんて!
今晩、きっと槍が降るわ!!

「しかーし!! 夕鈴殿! 貴女は何故、あの高価な茶器を壊したのですか? あれは王宮でも特に高価な白磁の一品だったのですよ。 美しい光沢の白磁、その繊細さを失うことなく、硬くしっかりした器。 有名作家による手書きの一点もの! 細かな筆使いによる細かな図柄は最高品と謂われるものだったのです! それも晩年の作! 最高級品です!」

ぜー、はーと荒い息遣いで一気に捲くし立てる李順の台詞に、 「何?何のこと??」 と頭が廻らない夕鈴。 そして目の前に 『茶器の亡骸』 が盆に乗せられて現われる。 
暫し注目したあと、 「ひぃっ!!」 と夕鈴は思わず後ずさりしてしまった。

皇女に頼まれた作戦で、四阿に陛下を誘った時に使用した茶器だ。
皇女とぶつかり割れて・・・・・・・・ あれ? その後、どうしたんだっけ?

「あれ? あの後・・・拾って・・・皇女と移動・・・した? いや、あれ?」
「夕鈴殿、記憶が飛んでいるようですね。 割れたこの高級茶器は、遙智国使節団が使用する四阿の卓上に打ち捨てられていたのですよ~~。 使節団より 『これは何でしょう』 と指摘されて、恥ずかしい事この上ない!」

ああああ! そうだった。 拾った茶器を私は何故卓上に置いたのだ?
自分のした行動がわからない!

「すいません!! 李順さん、あの時わたし・・・あれ、なんで?」
「知りませんよ! 兎も角、新たな借金が出来ましたので返済に勤しんで下さい!」
「・・・・・・はあ?」

素っ頓狂な声を出した夕鈴を、じろりと睨み溜息を零しながら眼鏡を持ち上げる李順。

「はあ~じゃないでしょう! 全く! 仕方ないでしょう。 返済方法も無いでしょうし縁談も流れてしまったのですから臨時花嫁バイトの継続です。 他に何かありますか?」

冷たい李順の視線に有無は言わせない雰囲気。 もちろん夕鈴にも否はない。
首を左右に振り、 「継続して・・・・ お願い致します」 と頭を下げるしかない。

ぱあ~~っと明るい表情になり花まで咲かせているのは陛下だけ。

憎々しげに視線を送る李順を気にする様子もなく、「そうか。また!」 と呟いた。 その台詞に体をびくりと震わせる夕鈴とは対照的に、小犬の笑顔で夕鈴に近付き、 「ゆーりん、よろしくね」  と陛下が楽しそうに告げる。

あの覚悟は一体なんだったんだと脱力する夕鈴。 その体を陛下がひょいっと抱き上げる。
抗う気も無くなった夕鈴は、陛下の腕に体を預ける。 (脱力しただけだが)
陛下の声が耳に響いた。

「夕鈴。 覚えているよね、君の願いを叶えたから今度は僕の願いを叶えるって!」
「・・・・・」

そういえば、そんな話もあったな・・・ と思い出す夕鈴。

「はい、その節はお世話になりました。 陛下の願いって何でしょう・・・・」
「ゆーりん、何だと思う?」
「・・・・手作り夕食でしょうか、それとも手作りおやつとか?」

頭が廻らない夕鈴は楽しげな陛下の声を聞き 『また陛下を見つめていられるのか』 と思ってしまった自分を恥ずかしくも、嬉しく・・・・ 思った。

「ゆーりん、それもいいけど・・・・」
「陛下、はっきり言って下さい。 覚悟は出来ています。 そして降ろして下さい」

頭が廻り始めて、自分の体が浮いている事に気が付き頬を染める。 抱き上げる必要が何処にあるというのだ。 おまけに李順が睨んでいる。

「駄目だよ、ゆーりん。 李順、妃が恥ずかしがっている。 下がって良いぞ」

李順は陛下を睨み付けながら、 「仕事はまだ溜まっていますからね」 と退室する。

「で、陛下の願いは何でしょうか?」
「約束して欲しいんだ。 思いもかけずに夕鈴のバイト延長が決まったから、どうしようか悩んだけど、やっぱり 『約束』 は必要だと思ってね」
「・・・・・?」
「夕鈴、ずっと僕の 『唯一の妃』 として此処に居て欲しい」

決め台詞を抱き上げた寵妃に心を込めて告げた。 真摯な眼差しで愛しい彼女からの返事を待つ。 恥ずかしがっているのかな? 頬を染めて、眼をぐるぐる廻して・・・・ ない?



しかし抱き上げた妃の目は・・・・ しらっとして、僕を見下げている。

あれ?  何、この顔?

ゆっくりと夕鈴の体を腕から開放すると、無言で彼女は部屋を出て行こうとする。
慌てて夕鈴の腕を掴むと立ち止まってくれた。

「ゆ、夕鈴? あの・・・・ 僕の願いは・・・・・」
「・・・・・陛下、その願いは絶対に無理です。 今度こそ借金を増やすようなことはしませんから、わたしは!」

そう何度も借金ばかりしていられませんよ! と文句を言いながら退室して行った。

借金返済の間だけ 『唯一の妃』 で居て欲しいと言った訳ではないのに。
ずっと・・・そう言ったのに。
もう彼女の頭の中は 「借金返済」 でいっぱいなのか?
身分違いでも愛があれば大丈夫だと香雪や填功に言っていたはずなのに、自分は?


全く、思い通りにならない。
だから面白いんだよね、夕鈴。

さあ、今回の返済期間はどの位かな?







FIN

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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 09:10:25 | トラックバック(0) | コメント(0)
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