スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
転がる石には苔生えぬ  4
underと同時進行なので、結構時間が掛かってしまう。 昼間眠くなってしまい、これはちょっとヤバイ? 少しのんびり更新となりますが、引き続き足を運んで頂けたら嬉しいです。


では、どうぞ














「お妃ちゃん。 ・・・・なんか顔が変」
「浩大、いきなり失礼なこと言わないで欲しいわ」
「いつものことだ、気にする必要も無い」
「・・・・・・桐さん、それは更に失礼」

頭が痛い。 立ち入り禁止区域に掃除に訪れると、浩大と桐が菓子を食べていて、畳み掛けるように老師が乾き物を差し出した。 ボロボロと床に零れ落ちる菓子屑に目を背け、盛大にハタキを動かし始めることにする。 
いつもいつも、この人たちは人の掃除の邪魔をして!

「昨日の続きはせんのか? 後宮妃の調べは終わりか?」
「ええ。 視点を変えて、もう一度考え直してみようかと思います。 それより今日は風が強いですから埃が舞いますよ。 一旦外に出た方がいいと思いますが?」
「老人を追い出そうとするのか! 協力し続けてやっとるというのに」

そう謂われてしまうと確かにそうだったと、夕鈴は掃除道具を持ち、別部屋の掃除に移動することにした。 その後から浩大が楽しげな顔で着いて来るが、やはり菓子を食べ続けている。 
菓子屑が・・・・ と睨み付けるも全く気にしていない様子に肩から力が抜けてしまう。

「なあ、お妃ちゃん。 へーかの肩揉み、続けてんのか?」
「二度だけ・・・・、その後はお忙しいようで部屋に来てないから・・・・。 午前中政務室に行ったけど、大臣らと話し合いがあったようで、陛下の顔も見てない」
「早くへーかの腰、もみもみ揉んでやれよ。 喜ぶぜ~、きっと」
「解せたら喜んでくれるかな?  ・・・・よしっ! 浩大、腰揉みの練習台になって!」
「はは・・・。 命がけの練習台だな~・・・・・」 

隠密である浩大の筋肉を傷めないように重々気を付けているつもりなのに、毎回そう言われては憮然とする。 かと言って、力を入れないと擽ったいと文句を言いながら笑い転げてしまう癖に、どうすればいいのだと睨ねつけた。

「大丈夫だよ、ちゃんと練習台になりますよ。 ほい、お妃ちゃん! 撫で回して頂戴」
「撫で回してるつもりじゃなくて、揉んでいるつもりなんだけど。 気持ち良くないかな」
「そこで気持ちが良いって言ったら、オレ本当に殺されちゃうっすよ!」
「・・・・・何で?」

卓に転がった浩大はニヤニヤ哂うばかりで、答えはしないが揉み始めると力加減などを教えてくれながら、陛下を揉む時には均等に力が掛かるように腰を跨いで、両腕に力を入れるように教えてくれたりした。 確かに横から一方だけでは、いちいち反対向きになって貰わなきゃならないから面倒かも知れない。 真剣にやっているつもりなのに、時々浩大の笑みにイラつくのは何故だろう。 しかし練習台になってくれているのだからと、あえて無視して腕を動かし続けた。
 


しかし翌日も、陛下の顔さえ見れない状態。 
バイトとして頑張りますと、囮としても頑張るが自分自身も大切にすると、改めて伝えたいのに出来ない。 肩や腰を揉み、ストレス解消する試みも頓挫したままだ。

境界線を見極めて立ち入らないように、自分の出来る範囲で頑張る。
自分が出来ることは少ないけどバイト中は、陛下の傍にいる間だけは、自分が癒せることがあれば良いなと願う。 頑張っていれば、その間だけは陛下の傍にいることが出来る。 
だけど、それさえ儘ならない。

何が出来るのだろうかと思案するばかりで、焦燥感が募る。 
まだちゃんと謝れていないことも一端だろう。 狼陛下の演技をしながら、ストレス解消も碌に出来ずに日々頑張っている陛下のために、何か癒せないかと考え続けていた。
ふと、下町で買い食いする時って、すごく良い笑顔だったのを思い出す。
・・・・・・下町にお連れする。

駄目だ!! そんな事したら李順さんに間違いなく殺される。 命を掛ける癒しは却下だ。
・・・・・一緒に庭園を散策しながら、手作りのお菓子を食べる。 平凡な考えだけど、それでも癒されてくれるかな。 そこで肩を揉みながらのんびり過ごせたら。
ここ数日考え続け、結局はそこに至る。 陛下に直接尋ねるもいいけど、やはり驚いた陛下の顔が見たいと思う自分が居て、知らず頬が染まってしまう。 
梅雨時期が本格化する前に、一緒に庭園を散策するだけでもいいな。 香りのいい花を一緒に見れたら嬉しいな。 ・・・・・ってこれは私の楽しみになって来た。
一石二鳥ってこういうことか。 自分の思い出作りにもなるし、一生懸命頑張ろう。

「あ・・・・・ ら?」

雑巾が手からすり抜け、床にぼたりと落ちる。
 
演技ばかりで疲れている陛下のストレス解消に何をしてあげたらいいのかと悩んでいたけど、妃の部屋まで来て演技をするのもストレスの一端? でも陛下の縁談避けのためには必要。 陛下の二面性を知られる訳にはいかないから、侍女が下がるまでは狼陛下を続ける。
今までは普通に思っていたけど、下町に居る時は素の小犬で楽しそうだった。
演技し続けは大変なのだから、その演技時間を短くするのはどうなのだろうか。
政務中は 『怖い王様』 が必要と言っていたけど、後宮では侍女を下がらせた後は素に戻れる。 滞在時間を短くして、更に私が政務室に行く時間を減らしたら?
でもさぼり癖のある陛下が頑張るために、そして仲良し夫婦を演じるために、政務室に通うように言われている。 でも、その分余計な演技が必要となり・・・・・。

「なんか、本格的に頭痛くなって来た?」

昨日の嵐で気温が急に下がってきたせいか、肌寒く感じる。 気付けば夕刻近くなり、一層重い雲が空を覆っているのが見える。 頭の中でぐるぐるし始めた疑問に、夕鈴は眉根を寄せた。






部屋に戻ると侍女が恭しく封書を手渡して来た。 陛下からだと伝えられ、中身を確認すると、或る場所へ来て欲しいと書かれている。 それも内密にして一人で、と。

「・・・・以前にもあったな、こういうの。 あの時は商人に扮した刺客だったっけ?」

陛下からこんな風に封書を貰ったことがない。 囮になるにしても注意を受けたばかりだ。
そんなタイミングでの封書なんて怪しい以外の何ものでもない。
忘れ物をしたと老師の許へ行く旨を告げ、夕鈴は立ち入り禁止区域へと急いだ。 浩大を呼ぶと、きょとんとした顔で窓枠から部屋へ滑り込み、手紙を見せると口端を持ち上げる。

「ふぅん、焦れたみたいで誘き寄せを企むか。 仲間を開放しろっていうのかもね」
「ど、どうする? 陛下に伝える? 直ぐに言われた場所に行った方がいい?」

浩大はにかっと笑みを見せると、「お妃ちゃんは、ここで待機!」 と残し、窓枠から姿を消した。 
・・・・・どうして毎回扉から出入りをしないのだろうという疑問は置いておいて、兎に角、言われた通りに大人しく指示を待つしかない。

半刻もすると浩大が戻って来て、李順より指定された場所へ行くように伝えられる。
勿論、陛下からの手紙ではないそうで、やはり刺客からの誘いだろうと思われた。 警備兵の配置も終わり、指定された時間に夕鈴は侍女を伴い、政務室へと向かうことにした。

「では、こちらでお待ち下さいね」

警備兵が直ぐに来られる場所に侍女を残し、政務室へ向かうと見せて、李順さんからの指示通りに回廊へと降りる。 指定された場所は政務室から程近い場所だ。 
何故、こんな場所に呼び出すのだろう? 陛下の振りをしているから? 
刺客だとしたら自分が捕まることは考えていないのか? 
仲間を助けるためとはいえ、危ない橋を渡るものだ。 ふと思った疑問に、この間四阿で小刀を突きつけて来た侍女に扮した刺客を思い出す。 彼女の仲間だろうと浩大は教えてくれたが、一体誰を狙ってのことだったのかまでは、夕鈴には知らされていない。
 
王宮に勤める、国の為に従事すべき人間同士の汚い裏側の思惑に苛立ちを感じ、その思惑に使われる闇の人間がいることに腹が立つ。 幾度と無く暗い裏を耳にして、足の引っ張り合いを目にして来ただけに、王宮に出仕する偉い人という印象が薄れていく。 
そういう人ばかりじゃないのは知っているが、落ち込みたくなるほど悲しくなるのは仕方が無い。 そんな狸や狐たちを統括するのだ、陛下のストレスは増すばかりだろう。 
夕鈴は深く溜め息を吐いて、そして顔を上げた。


「陛下。 お呼びと伺い、参りましたわ」

袖で口元を隠し、怯えた顔を作り周囲を見回す。 約束の刻限だというのに誰も居ない。

「陛下? あの・・・・ 陛下どちらで御座いますか?」
「そのまま静かにこちらへ来い。 口を開けば命は無い」

やっぱり刺客か。 実は少しだけ、陛下からの手紙だったら嬉しいな・・・・ と思ったことは内緒にしよう。 今は言われた通りに、怯えたふりをしながら黒衣姿の人物の許へ近寄ることにした。 黒衣の人物は背の高い、体躯の良い男性。 年は二十代後半だろうか。 

「・・・・・誰ですか? 何故、私を呼び出したのです?」
「口を開くなと言っただろう。 命は惜しくないのか。 狼陛下の妃と謂えど、命は一つしかないと存じているだろう。 大人しく従うことだな、次はない」

昏い雰囲気に殺気が混じり、抵抗することは止めた方がいいと判る。 自分が傷付くことで、他の人たちが心配する。 それを理解した今、下手なことは出来ない。 
謂われた通りに震える足を動かし、黒衣の男の下へと近付く。 でも侍女姿の刺客の時と違い、醸し出す殺意に震えが止まらない。 脳裏にちらっと青慎が浮かび、唇をきゅっと噛み締めた。 抗わず、大人しく、皆を信じる。 そう思いながら男の目の前に立つと、腕を取られた。
後ろ手に回され、紐で括られる。 
そこまで近付いたところで、男から異臭がするのに気が付いた。 今まで風上にいたせいで気付かなかったのだろう。 思わず眉を寄せると、男の目が昏く哂った。

「あのような手紙を渡せば、時間が限られていても王宮内だ。 警備兵が来ることは想定内。 だが、周囲の茂みには予め、薬草を焚いている。 暫くの間は動けまい」
「う、動けない、だけ? 死んだりしていない?」

怖くなった。 そうだろう、侍女姿の刺客から仲間がいると情報が漏れたのを知ってこそ、この場に妃を呼び出したのだ。 それに彼の方こそ準備する時間はあっただろう。 
思わず周囲を見ると、何の物音もしない。 その沈黙が夕鈴を竦ませた。








→ 次へ
スポンサーサイト

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:04:04 | トラックバック(0) | コメント(8)
コメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-06-01 土 08:09:59 | | [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-06-01 土 09:33:25 | | [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-06-01 土 10:07:05 | | [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-06-01 土 12:30:44 | | [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメントありがとう御座います。思考の渦に巻き込まれている夕鈴で御座います。(笑) さて、やっと出て来てくれた刺客さんです(爆) さっさと出て来いやと思っていたのですが、ちょいと方向性が斜めに走ってしまいました。 ちょいと痛い展開になっちゃいますけど、お付き合いお願い致します。
2013-06-01 土 22:06:02 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメントありがとう御座います。 ああ、あちらの陛下はうん、大変です(笑) こちらの陛下が出てこない分、頑張っておりますよ。はははははー。次からちょいと痛い夕鈴になります。お付き合い宜しくお願い致します。
2013-06-01 土 22:07:59 | URL | あお [編集]
Re: だいぶ前から
コメントありがとう御座います。変態コメント大歓迎で御座います。何しろ、私自身が変態ですから。 じゃなきゃunderなんて書けません。 次から夕鈴痛い場面がちょろりとあります。たいしたことは無いのですが、まあ、自分だったら痛いなと。 痛みに弱い自分です(自分に優しい?)
2013-06-01 土 22:09:59 | URL | あお [編集]
Re: リラックス<恐怖?
ダブルS様、コメントありがとう御座います。 もちろん、浩大ももみもみの実験台。 ただ、体格が陛下と比べると小さいからな~と先に桐を出しただけです。 浩大なら上手く逃げられそう。(笑) 翻弄されている夕鈴ですが、バイトと割り切って逃げるのは我慢するかな?と思います。underも宜しくお願い致します。
2013-06-01 土 22:12:09 | URL | あお [編集]
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。