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頑固な迷路  4

怒涛の攻めに入ったか、本誌の陛下!にニヨニヨが止まりません。 
最近蒸し暑くて、子供たちが裸族状態です。パンツでうろつく年頃の娘に文句を言っても無駄なので、突然部屋乱入し写メしてます。 結構尻作品が揃いましたが、娘は裸族のままです。


では、どうぞ














曲がり角を過ぎたところで突然勢いよく腕を引かれ、その勢いのまま部屋の奥へと強く押し出された。 振り返ると桐さんが入り口から回廊方向を見つめていて、夕鈴は立ち竦みながら息を整えようとひたすら深呼吸を繰り返す。

やがて静かに振り向いた桐を見て、その氷のような冷ややかな冷たい視線に夕鈴は声も無く床にへたり込んだ。 ゆっくりと腕を組む様を目で追いながら、息が止まりそうだと必死に空気を吸い込み蒼白の面持ちで桐の言葉を耳にした。

「今後、お妃の言うことは訊かないこととする」
「ご、ごめ・・・・。 ごめんなさ・・・・・」

目の前の桐さんも怖いが、あの官吏の取った行動も怖かった。 
あそこで水月さんが来なかったら、私は何処に連れて行かれたんだろうか。 もしかしてあの臨時補佐官は実は刺客だったのだろうかとさえ思えてしまう。 たくさんの菓子を懐から出して真っ赤な顔でただの掃除婦に渡してくれた人だけど、掴まれた時の力強さを思い出し恐怖が甦る。

「自分の立場と、それが露見した時の李順殿からの叱責を考えたら、私に睨まれるくらい楽なものだろう? 氾補佐官が来て上手く流れが変わったから良かったものの、お前は本当に粗忽過ぎる。 幾ら怯え泣いても報告はさせて貰うからな」
「・・・・・ううう。 それが一番怖いです」
 
床についた手がまだ震えている。 あと二日は大人しく部屋で過ごそう。
老師が病気になったとか、ぎっくり腰だとかで妃教育が中止になったとして部屋に閉じ籠ることにしよう。 庭園奥に足を運び、政務室近くには絶対に行かない。 これ以上李順さんに叱責されることを自ら招くのは怖い。

「ほら、立って着替えて部屋に戻れ」
「・・・・・腰が抜けましたぁ」

どうして王宮にはまともな人がいないのだろう。 皆さん、科挙に受かって国に王宮に従事することを赦されているのですから、ふつーに国のために仕事をしましょうよ! 言いたくはないが、方淵みたいに真面目に! 
恐怖と同時に腹が立ってきて、夕鈴はボロボロと泣きながら鼻を啜った。

「掃除婦に構っている暇があったらちゃんと仕事して欲しい・・・・・」
「そうだな。 そういう者ばかりなら、王宮内で妃警護など必要ないのだがな」

それもそうかと前掛けで顔を拭いていると襟首を引っ張られ、強制的に立たせられる。 
無理やり立たされたのでヨロけながら卓に縋るように手をつき、未だ止まらない涙を拭っていると、桐がすぐに妃衣装を持って来てくれた。 

「泣き止んでから着替えたらいい。 あと二日だ。 いいか、部屋からは出るなよ」
「庭園も行くの止めた方がいい?」
「・・・・・・・・」
「部屋から出ません。 閉じ籠ります。 大人しくしています」

たった三日で疲れ果てた。 自分が招いたこととはいえ疲れ果てた。 
もうこれからは大人しく教育本でも読んで過ごそう。 
それが一番いい。 これ以上迷惑を背負い込むのは自分の首を絞めるだけだ。 
ああ、陛下が戻って来るのが恐ろしい。 桐さんは一体どんな報告をするのだろう。
李順さんからの叱責を想像するだけで逃げ出したくなる。



その後二日間は大人しく過ごし、部屋からは極力出ないようにした。 侍女と一緒に刺繍をして、山と用意された妃教育本を読んで、夏物衣装を用意して、あの官吏のことは考えないように努め続ける。 厭でも思い出すのは掴まれた腕の痛み。
彼が何をしたかったのか解らないけど、今更考えても仕方がないのは理解出来る。 
今考えることは李順さんからの叱責時に何と答えるべきかと謂うことだ。
・・・・・それを考えると夜も眠れない。







出立の時と同じように薄曇の中、陛下一行が遠方視察から王宮へとお戻りになり、一気に政務室が賑わった。 政務室では夕鈴がいつか見たことのある光景が繰り広げられており、陛下の怒声が響き渡っていると浩大から聞き、乾いた笑いが零れる。 
皆さん、精神的にも肉体的にも今日は厄日のようです。
その厄災はもちろん夕鈴にも降り注ぎ、その日の夜に早速陛下が部屋へと来室する。

「お帰りなさいませ、陛下。 ご無事で何よりです」
「我が妃には随分と寂しい思いをさせたな」

部屋に入って来た陛下にいきなり抱き上げられ、侍女の微笑と狼陛下の妖艶な笑みに挟まれた夕鈴は真っ赤な顔で強張った笑顔を浮かべ、口元を袖でそっと隠す。 
五日ぶりの狼陛下の過剰な演技にクラクラしているだけではなく、妖艶な笑みの下に隠された問い質し気な突き詰めるような視線が怖くて唇が戦慄いているからだ。

お茶の用意を済ませた侍女が静かに退室して行くのを涙目で追っていた夕鈴だが、二人きりになったところで背を正し、陛下に向き直った。

「ま、まずは御視察、お疲れ様でした!」
「うん、予定通りに戻れて良かったよ。 あ、お土産あるよ。 あのね、荔枝って夕鈴食べたことあるかな? 視察に行った場所の貴族から貰ったんだけど、南方から取り寄せた果物だって。 美味しいから夕鈴はきっと気に入ると思うよ。 冷たくしておいたから食べてみて」
「あ、ありがとう御座います。 ・・・・わ、すごっく美味しいです」

冷やされた土産の果物は美味しくて、夕鈴は嬉しくて笑顔で陛下に御礼を伝えた。 
が、目の前の狼陛下の表情に笑みは固まり、手も息さえも瞬時にして止まる。 
宙に浮いた手をするりと掴まれ、荔枝の汁で濡れた指先に陛下の舌が這い、蒼くなっていいのか赤くなっていいのか目を回していると、もうすっかり耳馴染みとなった狼の声色が落ちてきた。

「ああ、先ほど桐からここ数日間の報告が来たんだが、臨時補佐官にこんな風に腕を掴まれて、夕鈴、何処かに連れ込まれそうになったんだって?」
「・・・・桐さんったら、お仕事熱心で御座いますわね・・・・。 いえ、連れ込まれ・・・・ そうになったというか、ただ引っ張られて、ですね。 相手の方も私を掃除婦として見ていて、た、確かに何処かといえば何処に連れて行こうとしたのやら」
「・・・・夕鈴」

名前を呼ぶ低く通る声が夕鈴の全身を硬直させ、バイト妃の粗忽な言動に呆れたような雰囲気が醸し出されていた。 目を泳がせながら、自分の口からも説明しようと引き攣った咽喉に無理やり唾を飲み込ませ息を吸う。 口角を持ち上げただけの決して笑ってはいない陛下に向き直り、夕鈴はまず頭を下げた。

「先に謝らせて下さい! 陛下御不在の折に粗忽なことをして、確かに官吏に腕を掴まれ連れ去られそうになりました。 そ、それは本当に私が悪いです。 ももも、申し訳御座いません!」
「・・・・・何で臨時補佐官の言うことを聞いたのかな」
「書簡を拾った礼だと御菓子をくれたのですが、次から次へと出してくる様子に、つい吹き出してしまって、それが不敬だと、赦して欲しければ次の日も来いと約束させられてしまい・・・・。 や、あの、桐さんには行かなくていいと言われたんです! だ、だけど」

「ふっ」 と冷笑され、思わず視線を泳がす。 
陛下が私の行動に呆れているのは判るが、自分の立場では約束を違えて貴族子息を立たせっ放しの放置も申し訳ないと思ったのだと、震える声で正直に付け足した。 

「地方から来たばかりの臨時補佐官を、掃除婦の立場の私が回廊にいつまでも立たせ続けるのは何かこう、・・・・居た堪れないというか。 あ、謝ったら直ぐに離れようとしたんですよ? でも腕を掴まれてしまって、上手く逃げることが出来なかっただけでして」
「そう・・・・・」
「あの人、何をしたかったんでしょうか。 一応赦すとは言ってくれたのですが」
「ふぅん・・・・・」
「聞いていると思いますが、水月さんが助けてくれまして」
「ああ・・・・・・」
「その後は会わないように掃除を止めて、部屋から出ないようにして」
「うん・・・・・・」

何か説明すればするほどに陛下からの雰囲気が昏くなっていき、周囲の空気が重い。 もう顔を上げることも出来ず、膝上の手を組んだり解したりするが陛下からの端的な返答が手汗を増し、どうしていいか判らなくなる。 
明日になったら今度は李順さんから厳重注意を受けるのだと思うだけで胸が苦しくなり、後宮から出たくないと切に願ってしまう後ろ向きな自分が厭になった。

膝上の手に陛下の手が重なり、身を竦ませると 「夕鈴」 と柔らかな声が掛かる。

その声色におずおずと顔を上げると優しげな小犬陛下が居て、ほっとした瞬間、あっという間に陛下の膝上に移動していた。 こういう動きって陛下は何処で覚えるのだろう・・・・ と、ちらっと頭の片隅に浮かんだが、それよりもすごく近い距離まで近付いた陛下の顔に目を瞠り、固まってしまう。

「夕鈴、僕は出立前、君にお願いしたよね?」
「わ、判っております。 で、ですから、申し訳ありませんと謝罪をしてまして」
「揉め事には首を突っ込まないで、と言ったよね」
「で、ですから突っ込みたくて突っ込んだ訳ではなくて」
「言ったよね?」
「・・・・い・・・言いましたぁ。 ・・・・ごめんなさい」

優しげな小犬の顔で、畳み掛けるように問い詰められたら、夕鈴は反論など出来やしない。
そもそもは臨時補佐官が書簡を落としたのを拾っただけだ。 
そして次の日偶然に会っただけだ。 
菓子を貰って思わず吹き出してしまった自分も、桐が止めるのも聞かずに相手との約束を優先した自分も、もう既にやってしまったことだから、どんな言い訳も通用しない。 ただひたすらに謝るしかないだろう。 うるりと瞳が潤んで来たので唇をぎゅっと結び、陛下の膝の上で背を正しながら耐えるしか今の夕鈴には出来ない。 

「まあ、桐から詳細は聞いているけど、ただ三度目だけは納得出来ない。 桐が駄目だと止めたにも拘らずに君は不用意に僕以外の男に近付いた。 これは赦せないことだろう?」
「はい・・・・。 ごめんなさい」
「お仕置きはどうしようかな。 明日から忙しくなるが、夕鈴には朝から政務室に来て僕を癒して貰うことにしようか。 昼餉を一緒に食べて四阿で仲良し夫婦演技をしようね。 あと、しばらくの間は例の回廊には行かないこと。 明日からのお仕置きを覚悟してね」
「はい・・・・。 ごめんなさい」
「荔枝を剥いて僕の口に入れて」
「はい・・・・。 ごめ・・・、え? あ、はいっ!」

卓上の荔枝に手を伸ばし、皮を剥いて陛下の口へと運ぶと手首を掴まれ、指ごと口の中へと飲み込まれた。 大きく目を瞠り、指のゆくえを見ていると温かい舌が荔枝の汁を舐め取り、ぽかんとした夕鈴に笑みを零す。 
これは陛下の言うところの 『お仕置き』 なのだろうかと舐められた指を見つめていると、微笑んだ陛下の顔が近付き、じっと見つめられた。 頭の中が真っ白にった夕鈴が茫然としていると、頤を持ち上げられる。

「あの臨時補佐官には近付かないこと。 いいね?」

近距離で妖艶な笑みを浮かべる陛下に知らず眉間に皺が寄ってしまうと、その皺を指で伸ばされ、その指がそのまま頬をなぞり落ちていった。 真っ赤な顔でコクコクと何度も夕鈴が頷くと深い笑みで見つめられ、一緒に立ち上がると 「お休み、夕鈴」 と陛下は退室していく。


その背を見送りながら、夕鈴は思った。
今のが仕置きではないというのなら、きっと明日からの仕置きはもっと翻弄されるだろうと。

どんな濃厚ないちゃいちゃ演技を要求されるのかと頭の中はモヤモヤの想像でいっぱいになり、李順から受けるだろう叱責のことはすっかりと消え去っていた。








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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:00:04 | トラックバック(0) | コメント(6)
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2013-06-26 水 01:37:44 | | [編集]
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2013-06-26 水 03:17:41 | | [編集]
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2013-06-26 水 07:05:06 | | [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメントをありがとう御座います。 桐さんからのいびりはちょいと間おいて続く予定です。甘甘陛下を書くのも楽しいです。次は李順を出したいです。浩大も出したいし、頭いっぱいです。雨でふやけています。
2013-06-26 水 19:19:58 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ユリア様、コメントをありがとう御座います。帰宅後夕飯作って、それからのんびりPCに向かっているところです。続き楽しみにして頂いてうれしいです。ありがとう御座います。臨時補佐官、どうしましょうかね。掃除を中止させられちゃったから~(爆)甘い陛下を書くのも楽しいです。
2013-06-26 水 19:22:35 | URL | あお [編集]
Re: お仕置きキター(//∇//)
ダブルS様、コメントをありがとう御座います。 三人が帰ってきて、恐怖に陥る夕鈴が面白いと思っている私です。さて、どんなお仕置きをさせましょうかね。甘いお仕置きがいいか、陛下からいびられるっていうのもいいしな~。でもいびり担当は李順さんか?次は浩大も出さなきゃな~。
2013-06-26 水 19:29:05 | URL | あお [編集]
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