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妃の憂鬱、僕の心配  2
後編です。 ベタになってしまいました。hahahaと笑って下さい。
あおもベタさ加減に哂っていました。 そうです、壊れています。



では、どうぞ













「お妃様、ご機嫌麗しゅう」
「あら、水月さん。今日も遅めの御出仕ですね。方淵殿に知れたら大目玉ですよ」

くすくすと笑いながら挨拶をすると、けろっとした表情で拱手したまま水月は応える。

「良いお天気でしたので、数曲作っていましたら、いつの間にかこの時間になっていました。 今度紅珠の屋敷に御見えの際には是非御聞き下されば幸いで御座います」
「・・・作曲していたのですか。 水月さん・・・・」

思わず驚いて水月をじっと見てしまう。 水月らしいが、それでは方淵が怒るのも無理はない。 政務室から脱走する水月を止められるのも水月に怒鳴る事が出来るのも方淵か陛下くらいだし、陛下が睨むだけで逃げ帰るのは間違いない。 まあ、今日は出仕しただけで良しとしましょう。

「ところで、ご機嫌麗しくはなさそうですね。 いつもより顔色が青白いようです。 お痩せになりました? 御無理はなさらずにお休みした方が良いと思いますが・・・・」
「そうですか? 体調は変わりありませんよ。 大丈夫です、有難う御座います」

夕鈴は元気に微笑むが、水月の心配顔は変わらない。 方淵が姿を現して、水月を引き摺るように政務室に連れて行った。 方淵も夕鈴をちらりと見て何か言いたげに口を開けるが、結局無言で立ち去った。
最近、胃の痛みが増して侍医より薬を貰い服用を続けている。
風邪の引き始めかも知れないとも思っていた。

政務室の所定の場に腰掛けた。
大臣らが自分を見る目が冷たいような、厳しいような視線を感じる。 尤もだろう。 判っていは居るが、夕鈴は「寵妃」として悠然と座って視線を流す。

ずきん・・・・ ずきん・・・・
胃の痛みが治まらない。 朝より痛みが強くなったような気がした。
団扇の陰で息を吐きながら 『ここで倒れるよりは・・・・』 と思い退室することにする。
静かに政務室より離れて廊下へ出ると、資料を抱えた方淵が目の前に居た。

「お妃様、何度も言うが政務室に妃が顔を出すのは・・・・」

その声を聞いた瞬間、今までに無いほどの強い痛みに襲われ夕鈴は意識を手放していた。 驚いた方淵が資料をばら撒きながら、夕鈴に走り・・・・・。









「・・・・ここは・・・」

気が付いて横を見たが、気持ち悪さと眩暈で慌てて目を瞑った。

「お妃様、御気が付きましたか? 政務室前で御倒れになられたそうですわ」
「すぐに侍医を呼んで参ります。 陛下へもお伝えして・・・・」

忙しい陛下に唯の体調不良を伝えるなんて!
(・・・李順さんに止めを刺されてしまう! 私が!)
夕鈴は慌てて侍女を制止しようとしたが、ぐっと胸が詰まり嘔吐感が込み上げて来た。 急ぎ寝台より起き上がり、近くの手桶に顔をうずめるように えずき出す。
鳩尾が押し上げられるように痛む。

胃の不調が続き最近は食欲低下もあり、余り吐き出せるものがないのに胃がせり上がってきて、嘔吐感が消えない。 脂汗が額を覆い気持ち悪さが増した。 眩暈が強く両手で床を支えていないと手桶に顔を突っ込みそうだ。 侍女が白湯を急ぎ持って来て夕鈴に薦め、嗽をして白湯を飲むと少し落ち着いた。

侍女に支えられて寝台に腰掛けると、侍医より早く陛下が姿を見せた。

「大事無いか? 一体如何したんだ!」

焦った顔で夕鈴に近付くと、両手で頬を包み込む。 陛下の顔に映る夕鈴の顔は、いつもよりずっと青白い顔。 その顔がさっと紅潮し、慌てたように陛下の手を払おうとする。

「へ、陛下。 ちょ、今少し吐いちゃったから汚れてます! 離れて~!」
「吐いたのか!! 何を口にした? 他の不調は?」

漸く姿を現せた侍医が急いで妃を診て告げる。

「最近胃の不快感を訴えて居られたので胃酸を押さえる薬をお出ししていました。 妃は急性胃炎の症状と思われます」

急性の炎症やただれで強い痛みが生じていたのだろうと侍医は続けて述べた。 吐血に至らぬように経過観察を重々怠らぬようにと告げられた。 遅れてきた老師は肩を落として 「悪阻ではないのか・・・」 と小さく悲しそうに呟いた。

「暫らく政務室通いを禁ずる。 体調が良くなるまでは後宮より出てはならない」

侍医や侍女等を前に妃に伝えると、いつものように人払いをした。


寝台に横になった夕鈴の額に冷たい布を置き 「ゆっくり休んでね」 と陛下がやさしく話しかけるが、夕鈴は  『臨時花嫁』 バイトの役に立たない自分にがっかりしていた。 刺客に襲われた訳でもないのに、バイト休止なんて。 自分の体調管理が出来ないなんて、めったに風邪もひかないことが自慢だったのに!

寝台で大人しく瞼を閉じた夕鈴の頬に優しく触れて

「ごめんね、まだ仕事が残っているんだ。 また夜に顔を出すから」

と話し掛け、小さく頷いたのを確認して部屋を出る。 陛下が部屋を出たのを目を閉じたまま感じ、息をついて夕鈴は静かに眠りに就いた。 余計な心配をさせたと後悔しながら。





侍医より改めて話があった。

「食事に何か混入された経緯はありません。 風邪の始めではないかとお妃様より聞かれましたが、風邪症状はありません。 私の見解では精神的なものから来る急性胃炎と思われます。 悪化しないよう御様子を診させて頂きます」

陛下は精神的な急性胃炎と聞き、黄大臣らを思い浮かべた。
浩大からも 「御世継ぎ問題について大臣達がお妃ちゃんに進言していた」 と報告を受けている。 それが原因のひとつか? 全く煩わしいものだと、苛立ちながら執務室で溜息を吐く。

「借金の件は置いておいて、夕鈴殿を一度実家に帰したら如何でしょうか」

李順が珍しく夕鈴擁護の台詞を進言したため、眉間に皺を寄せながら陛下が側近を見る。 言いたいことは判る。 夕鈴の体調を見ると王宮の闇に侵食されて疲労しているのだろうと。

「李順、それでは問題解決にはならないと思うが。 狼陛下唯一の妃への暴言暴挙に、そのままとは私が納得しない。 離宮での私の言葉を思い出せ」

李順は演技にしては行き過ぎていたと思った陛下の台詞を蒼褪めた顔で思い出し、眼鏡を持ち上げて溜息を吐きながら 「では、どのような対処を?」 と尋ねる。

「う~ん、大臣らの希望通りに夕鈴には僕の子供を産んで貰うって言うのは? 跡継ぎ問題も解決するし、夕鈴も正妃になって文句言われることも無くなるよね。 ああ・・・・ それって、いいな。 李順、どうだ?」
「な、陛下! それは些か無謀です! 夕鈴殿は庶民ですよ! 今以上に彼女が参ってしまうことは目に見えています! それに正妃は慎重な会議を重ねて選出させて頂きます! 今は未だその時期では御座いません」

李順の焦った表情を、陛下は冷笑で見つめ返しながら続ける。

「李順、それを決めるのは国王である、私だ」
「陛下!!」
「最終決定は私自身だという事を、お前が一番知っているだろう」
「・・・・・存じておりますし、決定事項には従います。 しかし、正直申しますと夕鈴殿から 『是』 の言葉を聞くのは難しい事と思われますが・・・・」 

背凭れに深く体を預けながら、それが問題だと黎翔も思った。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








夕鈴が目覚めた時、傍らには張老師が腰掛けていた。

「おお、気が付いたか。 胃の痛みはどうじゃ? 白湯でも飲むか?」
「老師、すいません。 ・・・・大丈夫です。 ひどい風邪ですね~、私」

白湯を用意しながら、ストレス性胃炎とは伝えられず黙って湯飲みを差し出す。 侍女らが湯浴みの用意が出来たと声を掛けて来たので、老師はそのまま部屋を離れた。 
本当に心から 『悪阻』 でないことを残念に思いながら。

春の宴以来、夕鈴は唯一の妃として大勢の大臣らに知られてしまった。 自分が勧める妃を、唯一の妃が阻んでいると思い込む輩も多く、誹謗中傷が絶えない。 大半は陛下の耳にも届いているが、夕鈴から陛下への申告は一度も無い。 大臣らのストレス解消になっていても、それもバイトの内と我慢をしていた。


湯浴みが済み、さっぱりした夕鈴が粥を食べ始めると陛下が顔を出した。 すぐに手を上げて、侍女らを部屋より退出させる。 夕鈴が慌てて立ち上がると、あっという間に陛下が夕鈴を抱き上げた。

「夕鈴、軽くなった・・・・。 気分はどうだ?」
「す、すいません、もう大丈夫です。 ご心配掛けまして! 陛下、もうバイト再開出来ますよ。 せめて立入り禁止区域の掃除だけでもしていいですか?」
「・・・・っ!」

心配して夕鈴に逢いに来て、愛しい妃からの言葉が 『バイト開始希望』 って。
正直陛下は面白くない。

「ねえ、夕鈴。 かなり体重落ちているよ。 胃の痛みもまだ続いているだろう。 完治するまでは掃除も禁止、老師にもそう伝えている。 了承して欲しい」
「・・・・・はい、陛下」

肩の力を抜いてがっかりした夕鈴を見て、陛下は心が痛む。 貴族の娘のように後宮内だけで過ごす術を知らない、働くことに生甲斐を見出す彼女に大人しくして居ろと言うのは酷かもしれないと思ったが、安静が必要と
侍医からも言われている。
肩を落として大人しく粥を食べ続ける夕鈴に、差し入れだよと苺を差し出すと、ぱあっと笑顔になり、 「陛下、一緒に召し上がりましょう!」 と言ってくれた。

「そういえば嘔吐したのを聞いて、老師が悪阻かと思ったってさ」
「ぐぅっ!」

夕鈴が胸を叩きながら、真っ赤な顔になり目を白黒させている。 
慌てた陛下が背を擦ると少し落ち着いてきて、水を飲みながら叫びだした。

「な、なんで!? そんな訳無いじゃないですか! 私はまだ・・・・!」
「ゆーりん、落ち着いて! 静かに!」

夕鈴の口を押さえながら、しーっと耳に告げる。  「声が大きいよ」
真っ赤な顔で興奮している夕鈴を見て、笑い出した陛下は逆に夕鈴にしーっと窘められる。 お互いに顔を見合わせて小さく苦笑する。

「・・・・・夕鈴。 バイト、辛い?」

笑いが落ち着いた時に、静かに陛下が問い掛けた。

「辛くはないですよ。 仕事というものはそういうものです。 どんな仕事も辛いと考えたら負けですよ! 陛下・・・・ どうしたんですか?」
「・・・・・夕鈴が辛いなら、僕も考えがあるんだけど」

眉根を寄せて、夕鈴が小首を傾げる。 その表情に柔らかく微笑んで夕鈴の髪を愛でながら、真っ赤な顔に満足した陛下は話し出した。

「後宮を閉鎖して、夕鈴だけを住まわせようかと思うんだ。 どう?」

瞳を大きくして立ち上がった夕鈴。 陛下も立ち上がり、夕鈴を胸に掻き抱く。 
「陛下!」 と叫ぶ夕鈴の顔を胸に押し付ける。 彼女が言うと思った台詞が想像通りに発せられそうで哂えてしまう。

「夕鈴、君をもう閉じ込めたままにしたい。 こんな我が侭な僕は嫌い?」

胸に顔を押し付けられた夕鈴から小さな震えが伝わった。 そっと力を抜くと夕鈴から呟くような声が聞こえて来た。

「私を・・・・ 閉じ込め・・・・」
「うん、駄目? これで夕鈴を独り占めに・・・・」

陛下は少し頬を染めて 『陛下、私は唯の庶民です!』 の言葉を待った。 その言葉に対する台詞を心に用意しながら。

想像通りに小さな震えが大きな震えになり・・・・・ あれ、震え過ぎだよ、夕鈴。
しゃっくり上げなくても・・・・ って! 泣き出して、ガタガタ震えているし!!

黎翔は宙を仰ぎ見る。 今度はどう捉えたのかな、我が妃は。

「えっと・・・・ 泣かないで? 後宮閉鎖って駄目? 僕夕鈴だけ居れば・・・・・」

陛下の襟を掴み、涙目で夕鈴はワナワナと話し出す。

「陛下、私何を壊したのでしょうか? それとも治療に多額の費用が掛かったとか。 閉じ込められるほどの借金を背負うなんて・・・・。 一体 払いきれるの? ・・・・もし、青慎に迷惑が掛かったらどうしよ~!!」

そっちかー!!  後宮を閉鎖して君を閉じ込めたいって、言い方が悪かったのか?
今の夕鈴の妃という立場を考えたら 『正妃』 になるなんて想像も出来ないんだ。
真面目な娘だけど、恋愛に関してどうしてこうも・・・・。

これ以上悩ませる訳にはいかない。 胃炎の原因はストレスかもと侍医は言っていた。
その為に安静と。 これじゃあ逆効果だな・・・・。

「ゆーりん、大丈夫だよ。 何も壊していないし、治療は無料だ」
「・・・・本当?」

涙目で僕を見上げる夕鈴の頭を撫でて、何度も頷くとやっと彼女の笑顔が見られる。

「夕鈴は、そのまま後宮でバイトを続けていて」
「いいですか? わたしを・・・・ 閉じ込めないですか?」
「うん、僕の戯言だから(残念だけど今は) 気にしないで。 ちょっと、からかっただけ」
「陛下。 ・・・・笑えないですよ。 ・・・・ああ、吃驚しました」
「うん、ごめんね」

君の憂いは僕が払うから。 大臣らに唯一の妃を傷つけさせる訳にはいかないし、そんなことは・・・・ もうさせないよ。 更に夕鈴といちゃいちゃして、熱愛を見せ付けなければな。 
浩大に黄大臣の弱みを探し出して、このまま上手く動かしながら手綱を引けるようにする算段を頭の中で考える。 これ以上余計な口を出す事は許さない。
可愛い妃を憂いさせ続ける訳にはいかない。

「でも、掃除も書庫での整理も政務室通いも、侍医から許可が出るまでは禁止だよ。 まずは自分の体を癒すことが第一だ、夕鈴」
「わかりました、陛下」

借金追加がないと知り、ほっとした夕鈴は後宮で出来ることを思案し始めた。 風邪による胃炎と思っている夕鈴に苺を差し出す。 ぱあっと目を輝かせて、一つ摘み口へ運ぶ。

「わあっ!甘いです!」  涙を拭き、美味しそうに食べる夕鈴。


【 夕鈴を僕の、白陽国の正妃に 】

僕のこの思いも考えも、今の夕鈴には届かない。仕方が無いから、裏から胃炎を治す手伝いをするだけ。 少し残念そうに、夕鈴と苺を食べる。

甘くて、ところどころ酸っぱい夕鈴のような苺を。












一週間も毎日陛下が後宮へ昼も夜も日参し、寝台や長椅子で夕鈴と過ごす日々が続くと、胃の痛みより頭痛に悩まされ始めた。 必ず李順がやってきて無言で陛下を連れ出すのだ。 私に視線を合わせない李順さんに逆に背筋が凍りそう・・・・。

「陛下・・・・ 李順さんが迎えに来るほど御忙しいのですから後宮に顔を出すのを控えて下さいませんか? (私のために!)」

きょとんとした顔で陛下が夕鈴の顔を見る。

「夫が妻の体調を気遣って何が悪いの? 仕事は優秀な側近や補佐官がしっかりやってくれるよ。 夕鈴は気にしないで、体をしっかり治してね!」
「・・・・・・・」

・・・・治したいから伝えているのに。
頭を押さえながら夕鈴がそう思っていると、顎を持ち上げられ顔が近付く。

「今日は随分顔色が悪いね・・・・。 部屋に閉じこもるのは良くないから四阿で日光浴しよう。 天気が良くて気持ちが良いよ。 さあ、夕鈴」

手を出されて、溜息混じりにその手に触れた瞬間抱き上げられていた。

「きゃわっ!」

急な浮遊感に慌てた夕鈴は陛下にしがみ付く。
嬉しそうに笑う陛下の声に、夕鈴は何も言えずにそのまま抱かれて外へ出た。




確かに好天気。 四阿周りの樹々の緑が日に日に濃くなっていく。 抱かれたまま眩しさに眼を細めていると、四阿の中へ入り椅子へ降ろされた。 侍女に茶の用意をさせた後、その場より下がらせる。 あとは二人きりでと。

「夕鈴、お茶を淹れてくれる?」
「・・・はい、陛下・・・」

此処にもその内李順さんが無言で暗黒オーラを纏いながらやって来るんだろうと、数回目の溜息を吐いていると、ひょいと抱き上げられ陛下の膝の上に座らされる。 真っ赤な顔で陛下を見ると、にっこり哂いながら見つめ返された。

「胃の痛みは治まっているとは聞いているが、我慢は禁物だよ」
「我慢はしていません。 もうすっかり治っている筈ですから。 本当に御心配掛けてすいませんでした。 ですから陛下はお仕事に集中して下さい。 李順さんからの無言のプレッシャーが痛いんです!」

いつ来るか解からない李順に背筋がぞわぞわする夕鈴は、きっぱりと陛下に告げる。
元気に文句を言う夕鈴を見て、安心して陛下はにっこり笑った。

「言っただろう、優秀な配下に恵まれているって。 大丈夫だよ」

・・・・大丈夫じゃないから毎回李順さんが来るんですよと、夕鈴は言いたい。 何を言っても陛下は上手く反論するから、この会話はループするだけ。 陛下の膝の上で 「駄目だ、こりゃ」 と諦めた夕鈴の髪を一房取り、唇を触れさせる。

「! ・・・なっ!」

真っ赤に染まる夕鈴を見て笑う陛下に怒りが沸いてくる。 ぴきっと青筋を立てた夕鈴は、陛下の膝上からするりと立ち上がる。 すぅっと息をつき、静かに陛下に語り始める。

「陛下、お仕事はしっかり、きっちり行なってこそ真価が問われるのです。 妃として誇らしい陛下が見てみとう御座いますわ」

氷のような笑顔で執務室方向を指差す。 陛下が 「え?」 と視線を指された方向へ向けると暗黒オーラを身に纏いながら優秀な側近である李順が近寄ってくるのが見えた。

「・・・ああ」
「これ以上、お仕事に支障が出るようでしたら・・・・ そうですね。 手作りおやつや夕餉は今後一切お作り致しません」
「!! 夕鈴、それは!! 解かった! 君の為にお仕事頑張るから!」
「私の為ではなく、白陽国の為に頑張って下さいませ」

側近に襟首を掴まれ、引き摺られるように執務室に連行される陛下に最上級の笑みを見せながら手を振った夕鈴。 その悲しげな小犬のような陛下の顔に、ここ最近の憂鬱が綺麗さっぱり消え去るように感じた夕鈴だった。







FIN


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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:56:49 | トラックバック(0) | コメント(0)
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