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迷宮への誘い  2
こちら「パラレルシリーズ」となっております。白陽国続きです。オリジナルキャラ・ユーリが動いてます。今回からオリキャラ桐も動きます。御了承の上、ご覧下さい。 


では、どうぞ












気に掛かるのは自分がいた本来の世界もだ。 
ここから戻る手段が出来たとして、その世界に夕鈴さんが居たら・・・・どうなるんだろう。 
ドッペルゲンガーではないから、同じ世界にいても問題はないだろうが、以前聞いた話だと私が身に着けている形見のネックレスは黎翔が夕鈴さんに贈ったものらしい。 
ということは夕鈴さんは私の先祖なのだろうか。 
後宮にいる妃ということは、目の前の国王陛下との間に出来た子供の子供の、ずうっと後の子供が私の母親で、その子供が私なのかな。 私の祖先が夕鈴さんと国王陛下ということになるの? じゃあ、黎翔と国王陛下が同じ顔なのはどうして? 遠い未来で道筋が変わったのかな。 それともただのそっくりさんなだけなのか。 

桂香さんが好きなパラレルワールドとか、SFって奥が深い!
・・・・・ぐるぐる考えすぎて、頭から湯気が出てきそう。 

目を閉じるとぐらりと視界が歪み、思わずテーブルに手をついた。
やっぱり考えすぎたのかと、目を閉じたまま深く息を吐く。 有り得ない出来事が怒涛のように押し寄せ、頭の中でまとめることが出来ない。 その上疑われ、夫に似た異世界の国王陛下に腕を捩じ上げられた。 どう対処していいのか判らないけど、大丈夫だと思うしかない。
そう思わなければ、息も出来なくなりそうで・・・・・・・。

「まずは座ってくれ。 それと・・・・先ほどは申し訳ない。 痛まないか?」
「い、いえ! 国王陛下がそのように御気を遣うことは御座いません。 夕鈴さんに似た人物が後宮に現れたのですもの、疑うのは当たり前ですわ。 鍛えてますから大丈夫です」

椅子に腰掛けると思ったより精神疲労が感じられ、知らず深い息を零す。 
それでも国王陛下には笑顔を見せた。 彼も困惑しているのだと伝わって来るから、これ以上迷惑を掛けたくないと強張っているが笑みを浮かべる。 こっちの世界でも妃が消えたのだ。 それも二度目だ。 心配も動揺もきっと私の比じゃないだろう。

「国王陛下様は・・・・どうなさいますのでしょうか」
「どう、とは?」

ああ、正体不確かな私が国王陛下に口を聞くなど、それも質問など、いいのだろうか。 
でも気になって仕方がない。 
確か昔の後宮という場所には、たくさんのお妃がいるはずだ。 妃が一人いないくらいでは騒がないのかな。 国王陛下が重視するのは国政であり国益をどう守るかで、後宮に沢山いる妃の一人や二人、居なくなっても直ぐには困らないのだろうか。

ふと、黎翔はどうしているのだろうと胸が痛んだ。 
もし夕鈴さんがアメリカに行ってしまったのだとしたら、黎翔のそばに居た方が安心だと思う。 全く異なる世界に放り出され何かあるより、黎翔の邸に居た方が安全だし、邸の皆も久し振りの再開に喜ぶだろう。 そして、夕鈴さんとの逢瀬を喜んでいるのかなと考えると、目が潤みそうになる。 もしかしてとか、もしもなんて、考えても仕方がないことがグルグル頭の中を駆け回り、煩いくらいだ。

ユーリは一度深呼吸してから国王陛下を真っ直ぐに見つめた。

「あの・・・・以前、夕鈴さんが後宮から消えた時は、どうされましたか」
「・・・・池に落ちたと聞き、王宮内全ての池を浚い、水の流れを調べてその先を探させ、庭園内から王宮、後宮を・・・・夕鈴が見つかるまで、後宮に戻って来るまで捜索し続けた」
「数ヶ月間、一人の人間を・・・・」

どれだけ愛しく思っていたんだろう。 そんな風に探して貰えて夕鈴さんは幸せだ。
思わず頬を押さえて吐息を落としていると、国王陛下から咳払いが聞こえてくる。 

「・・・・私の妃は夕鈴だけだ。 君はその・・・、そっちの黎翔・・・・は、どうなんだ」
「え? あれ? れ・・・・国王陛下は、国王ですよね? ここは後宮ですよね? あれ? お妃様がひとりって。 あ、そういう国なんですか。 私の世界と同じなんだ!」

何だかすごくほっとした。 自分が居る世界と同じなんだと判ると、自然な笑みも零れる。
たった一人のお妃のために尽力する、そんな国王陛下がいる国に居るのだと思うだけで嬉しくなる。 一生懸命にたった一人の妃を探す、そんな人が目の前にいるのだと知り、自分も頑張って戻る手段を絶対に探すぞって気持ちに力が漲る。

「私の世界の王族も殆ど一夫一婦制です。 ああ、でも確か、イスラム教徒の多い国は一夫多妻が認められているところが多いはず。 アラビア半島の国とかだったかな。 でもどの国も殆どは夫も妻も一人です。 もちろん、れ・・・お、夫も妻は私だけです」
「いすら・・・・? 君の言っていることは本当に難解だ」
「あ、すいません! つい口からポロポロと。 つまり、夫の妻は私だけです!」

国王陛下の顔がきょとんとして目が点になっているから、また訳の判らないことを言ってしまったと判り、慌てて俯いた。 そして、今のその顔は二人きりの時に見せてくれる黎翔の顔そっくりだと、目にしたユーリの胸が痛くなる。

「本当に・・・・・強いな。 見知らぬ界で、知らぬ者ばかりの場所だろうに」
「夕鈴さんも、そうだったと聞いています。 私は今、夕鈴さんのお世話をしていた方と一緒に住んでおりますので、よく話を聞きました。 右も左も、食事も慣習も違う場所で、それでも元気にいろいろなことを学ぼうとされて、いた・・・・そうです」

そんな夕鈴さんを黎翔が愛しく思い、傍にいて欲しいと望んだのだ。 その望みは叶えられなかったけど、夕鈴さんがアメリカに居るなら、きっと今ごろ・・・・・。 
考えちゃ駄目だと判ってはいる。 今は私だけを好きだと言ってくれる人を信じられないのは駄目だと思っているのに、溢れそうな涙は視界を歪ませ、声を詰まらせる。 
余計なことは考えない。 考えたら負けだとユーリは何度も瞬きを繰り返した。 
それに、夕鈴さんが耐えられたことを、事情を知っている私が耐えられないなんて情けない。 

顔を上げて窓の外に視線を移す。 小さなガゼボが見え、そこに行っていいかと尋ねてみた。
少しでいいから一人になって考える時間が欲しいと思ったからだ。
だけど、人目があるからと別の場所を案内されることになった。 




国王陛下に案内され、長い外廊下を歩き、連れて来られたのは寂しげな場所。 
もしかして、実はひと気のない場所で密かに斬り殺されるのではないかと震えそうになったが、陛下が呼び寄せた人物を見てユーリは目を大きく見開いた。

「こ、浩大っ! え? ええ!? ・・・・でも身長が違う。 別の人・・・なの?」
「うわっ、お妃ちゃんじゃないんだよね? へぇええええ! 驚いた!」
「浩大、夕鈴が以前、話していただろう。 別の界で、名前も顔も似た人物がいたと。 お前もその内の一人らしいな。 ・・・・君は少しここで過ごしていてくれ。 あとで顔を出す」

国王陛下はずっと困った顔をしているから、言われた言葉に素直に頷き、ユーリはこの場にいることにした。 国王だから忙しいのだろうに、ここまで案内してくれるなんて、夕鈴さんに似ているだけで親切にしてくれるなんて、なんて親切な人だ。 
斬り捨てられるかと思った自分を反省しなきゃと反省もする。
踵を返して離れていく背中を見送るのは寂しいけど、邪魔は出来ない。
妃に似ている人物がうろうろ、異なる衣装でいたら怪訝に思われるだろうから、余計なことはしないで、まずは情報収集をすることにしよう。

「えっと、名前も浩大、でいいのかしら。 うん、顔はそっくりだ!」
「お妃ちゃんと声も同じじゃん! だけど目は青みがかっているんだな。 ああ、衣装を着替えて貰わなきゃ駄目か。 そのままじゃ・・・・って、どうしよう」
「うぉいっ! なんじゃ、本当にそっくりじゃな。 ほぉおおおっ!」

何か奥から小さいお爺さんが元気よく出てきて驚いた。 ずいぶん元気に人の周りを回っているけど、この顔も見たことあるわとユーリは首を傾げる。

「・・・・もしかして、張という御名前ではありませんか?」
「何故知っておる! 小娘から聞いておったが、同じような顔の者が、お前の国にも居るのか! して、その者の役職は何だ? 何をしているのじゃ?」
「会社近くにある、漢方を中心に扱っている薬局の御隠居さんです。 高齢だけどとっても元気なところがそっくりだぁ! やっぱり名前も張さんなんですか。 うわぁ」

いつも何かを食べている、少々口煩い名物爺さんだと話すと、すごくがっかりした感を漂わせる老師の横で浩大が声を殺して笑っているのが見えた。

「浩大・・・さんって呼んだ方がいいのかな。 あっちの浩大も最初は『さん』付けで呼んでいたんだけど、最近仲良くなって呼び捨てなのよね」
「呼び捨てでいいよん。 あ、大ちゃんでも大丈夫。 で、あっちのオレは何してる?」

にっこり笑う顔は同じだ。 こっちもつられて笑ってしまうのは浩大だからだろう。

「れ・・・あっちの国王陛下の会社で働いているの。 結構あちこち飛び回っていて、カナダやインド、オーストラリアやイギリスとかに出張してる。 この間は日本に行って来たって、トラヤって日本のゼリーをお土産に貰ったの。 ・・・・あれはとても美味しかったなぁ」
「・・・・何だか言っていること、ちっとも判らない。 兎に角、陛下の下で働いているってことだろう? それも外交担当なのか? あちこちに行くって」
「うーん、外交とは違うわ。 内部調査員って仕事で、抜き打ちの視察をしたり、あと時々はシステム監理も担当しているみたい。 余り詳しくは判らないのだけど。 れ・・・あっちの国王陛下の近くにいる時はボディガードもしてるみたいね」
「・・・・やっぱり判らないけど、調査員ってことは偵察ってこと?」
「そう。 ボディガードは、えっと、警護とか護衛ってことかな。 陛下を守る人」
「了解っす」

首を傾げながら、それでも楽しそうに頷いてくれた。 話しやすそうな雰囲気に、ユーリは尋ねたいことを二人に尋ねてみる。

「あの、夕鈴さんってどんな風に消えて、どんな風に戻って来たの?」
「お妃ちゃんは・・・・強風に煽られて、橋の上から池に落ちたんだよ。 あっという間のことで、急いで駆け寄ったけど間に合わなくて。 だけど、落ちた水音を聞いてないんだ」
「・・・・私の世界で夕鈴さんが見つかった時は、全身ずぶ濡れだったって」
「そうか。 ああ、戻ってきた時はずぶ濡れだったよ。 後宮の自分の部屋で倒れていたんだ。 晴天が続いていたのに、突然部屋に現れたお妃ちゃんは冷たく濡れていて驚いた」

項垂れる浩大を前に、何も言えなくなる。 落ちた憶えの無い自分は、どうしたら戻れるのだろうか。 じわりと這い上がる不安を飲み込んで、質問を続ける。

「池に落ちた夕鈴さんは、部屋に戻って来たんだよね」
「うん、突然ね」
「同じ場所じゃないんだ。 あ、衣装は同じだったのよね」
「・・・・・同じだと思うな。 そこまで覚えがないけど同じかも」
「同じはず。 妃衣装を着た夕鈴さんが、現れた場所から消えたって聞いたから・・・・。 じゃあ、私もこの衣装のままでいた方がいいのだろうけど、これでは動けないよね?」   
「うん、困る」

はっきり言われると、諦めるしかない。 

「いつでも着られるように側に持って歩くしかないか?」
「じゃあ、包むものを用意するよ。 大丈夫だよ、お妃ちゃんだって戻って来れたんだからさ」

明るい声に苦笑して肩から力を抜くと、窓から突然人が現れた。 驚いて立ち上がると、相手も酷く驚いた顔を見せ、そして訝しげに睨み付けて来る。 

「・・・・・何故、ここにお妃が?」
「あー・・・、この人はお妃ちゃんのそっくりさん。 他の国から遊びに来たんだ」
「浩大っ! ちょっと来い」

眉を顰めた顔でユーリを一瞥した人は、浩大と共に部屋から出て行った。 

心臓が跳ね回り、やっぱり斬首になるのかなと蒼褪めていると、老師なるお爺さんがお茶を出してくれる。 突然現れた人の表情に竦んだ身体が、お爺さんののほほんとした顔に癒され、一気に力が抜けた。 今はどうなるか判らないけど、兎に角傍観するしかない。 その上で動かなければ駄目だ。 何も判らないまま焦って動いても、良い結果は得られないだろう。
古武道の呼吸法を思い出して繰り返し、卓上のお茶に手を伸ばす。 中国茶って淹れ方も香りも面白いなと、ユーリは気持ちを切り替え、温かいお茶を咽喉に流した。

「後から来たのは桐といって、浩大と同じ職務についておる者じゃ。 普段は王都周辺の動きを調査することが多いが、突然姿を見せるとは、何かあったのかのぅ」
「・・・・偽者を捕らえるため・・・・とか?」

考えたくはないが、国王陛下以外の人が密かに指令を出す場合もあるのではないかと思うと、ユーリは蒼褪めてしまう。 浩大の人懐こい顔に気が緩んでいたが、いくら夕鈴さんに似ていても、正体不明の不審な侵入者でしかない立場の自分。 
ああ、突然斬り捨てられたら・・・・どうしよう! 
いや、どうしようじゃない、斬られたら死んでしまうじゃないか。 
それだけは困ると老師を見ると、顎鬚を撫でながら 「大丈夫じゃ」 と頷いてくれた。

「確かにお前さんは不審者ではあるが、その衣装や物言いから、全てが嘘とは言い切れん。 実際、お妃が後宮から姿を消した過去があるから、今回も同じと考えることは出来る。 今回はお前さんが現れ、お妃が行方不明とあり、確かに疑いはあるがの」
「・・・・老師さんも先はわからないですよね」
「わからぬのぉ。 こればかりは人外の範疇じゃろうて」

直ぐに斬り殺される心配はないようだが、それでも不安はじわりとユーリを追い詰める。 しばらくすると浩大が現れ、ユーリをまじまじと見つめ首を傾げた。

「どうしたの、ですか?」
「うん・・・・、やっぱり居るなって確認。 今ね、馬車が到着したんだけど、そこから降りてきた人物の確認して、で・・・・こっちの確認。 マジに、オレの頭が沸騰しそう」

言っている意味が判らずユーリが首を傾げていると軽い足音が聞こえ、浩大の肩越しから入り口に視線を移すと、そこには同じ顔があった。 そして同じ顔が驚きの態で、近寄って来る。
 
どうしよう! 私の頭も沸騰しそう! 








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パラレル | 01:50:02 | トラックバック(0) | コメント(8)
コメント
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2013-10-10 木 02:10:57 | | [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメントをありがとう御座います。そして大笑いしました。桐の登場にありがとうと! いえ、すごっく嬉しいです。こちらこそ、ありがとう御座います。
2013-10-10 木 02:15:37 | URL | あお [編集]
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2013-10-10 木 02:16:08 | | [編集]
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2013-10-10 木 07:19:12 | | [編集]
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2013-10-10 木 21:19:09 | | [編集]
Re: タイトルなし
aki様、コメントをありがとう御座います。リクエストの『ユーリと夕鈴の共演がみたくなりました』に添うように、今回はユーリが旅へ出発です。 桐にはナツカナイデ・・・・に、ニヤリです。 同じ顔に懐かない訳には・・・・。 どうしましょうか。(困)
2013-10-10 木 21:44:47 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
名無しの読み手様、コメントをありがとう御座います。あらら、検査お疲れ様でした。結果は一週間後ですかね。うちもそろそろです。バリウム飲むのが下手なので、嫌だな~。桐とユーリバトルは・・・・・えへへへ。あ、桐、このあと壊れます。すいません。(笑)
2013-10-10 木 21:48:39 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメントをありがとう御座います。以前頂いた『ユーリと夕鈴の共演がみたくなりました』に触発された妄想作品ですが、お楽しみ頂けたら嬉しいな。桐は、もう少ししたら出しますが、次は李順を出したい。ああ、パラレル夫婦のいちゃいちゃ報告に羞恥する夕鈴って、すごくいいかも! underもチマチマ書いてますので、今週にはup出来ると思います。のんびりお待ち頂けるとうれしいです。
2013-10-10 木 21:52:57 | URL | あお [編集]
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