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迷宮への誘い  5
「パラレルシリーズ」続きです。 オリキャラ・ユーリの話です。 ・・・・やっと怒涛の忙しい一週間が過ぎ、ようやく落ち着くか? 来週は会議がないから大丈夫だろう。(希望!) underもぼちぼち更新させる予定です。


では、どうぞ












瞬時に不審者だとわかり、走り寄って来た人物が怪しげに光るモノを懐から取り出すのを目に、私は裾を持ちながら立ち上がった。

「やっばいから逃げ」
「・・・っのぉ!!」

持ち上げた裾を即座に腰帯に押し込み大きく足を広げた私は、真っ直ぐに向かって来た人物が振り上げた武器を持つ手を下段から叩き上げる。 腰を落としたまま一歩踏み込み、相手の腹部に肘打ちを叩き込むと相手は蹈鞴を踏んで退がり、こちらを睨んで来た。 
ニ、三歩分の距離が開き、じりっと出方を窺う相手を観察する。 足元に小刀らしきモノが突き刺さり、目を奪われた隙に相手は踵を返して去ってしまった。

「浩大っ! 逃げたっ!」
「あー・・・、用があるなら、また来るだろうから放っておいていいよ。 それより、オレの心臓が持たないから逃げて欲しかったよぉ。 マジにビビッタ」
「背中を見せる方が危ないわよ。 ・・・・ねえ、夕鈴さんが狙われているの?」

地面に突き刺さった小刀を拾い上げた浩大が振り返り、肩を竦める。 沈黙は肯定だ。
目を眇めて浩大を見つめていると、困ったような顔で大きく息を吐く。

「そっくりさんのところは如何なのか判らないけど、ここは後宮がある。 陛下のお妃になりたいって候補は沢山いるんだよね。 だけど陛下は一人でいいって、他の妃を娶ろうとしない訳。 それが面白くないと、お妃ちゃんを狙う輩が時々いらっしゃるってことだ」
「・・・・そんな、ひどい。 あ、浩大は夕鈴さんのボディガード? じゃなくて警護する人なの? 今は夕鈴さんの側にいなくて大丈夫なの?」

眉を寄せて文句を言った後で、ここに居ていいのかと心配になる。 

「今は陛下が側にいるから大丈夫だよ。 逆にそっくりさんの方に来るとはね」
「ああ・・・、似てるから」
「それに後宮でそんな衣装を着て庭園を歩くのは限られているだろうしね。 これからは一人で歩くのは止めた方がいいかな。 今みたいなことがあったら危ないからさ」
「そんなっ!」

では何をしたらいいのだと言いたくなる。 
自分の国へ戻る道を模索するために、一人で考える時間が欲しい。 
手掛かりがない状態で黙って待つのは性に合わない。 

取り合えず一度報告しなきゃならないから戻って欲しいと言われ、ユーリは項垂れながら戻ることにした。 後ろ髪を引かれる思いで歩いていると、桐といわれる人物が目の前に現れる。
突然姿を見せた彼に驚いて浩大の袖を掴むと、冷ややかな視線で上から下まで不躾に見つめられ、思わずむっとしてしまう。 お互いに黙ったままで見つめ合っていると、浩大が楽しそうに口笛を吹いた。

「桐、話は聞いているだろ? お妃ちゃんの従姉妹として暫くの間、滞在するって」
「・・・・聞いている。 しかし、異世界など信じがたい話だ」
「信じたくないのは私も同じ! だけどそんな風に貴方に怪しい人物を見るように睨まれる憶えはないわ。 帰る方法が見つかったら直ぐにでも退散します! それまではどっぷりとお世話になりますから、どうぞ宜しくお願い致します!」

ユーリが腕を組んで鼻息荒く言い切ると、大きく目を見開いた桐が口を押さえ込んだ。 文句が飛び出そうなのを耐えているのかと半目で睨み上げると、ぷるぷると震え出すのが判る。 
怒りに震えているのかと思い、一撃来るかと身構えようとした時、目の前の人物が大きく息を吸い込み、身を屈めた。

「・・・ぐっ!」
「・・・っ?」

何の気合かとユーリが急ぎ構えを取ると彼の身体がひと際大きく揺れ、全身を震わせて身悶えし始める。 目を瞠って固まったユーリに、浩大が呆れた溜め息と共に声を掛けてくれた。

「・・・・・嗤ってるんだよ」
「・・・・・痙攣を起こしているようにしか見えないけど」
「ひぃ・・・・っ、いっ、いひ・・・・」

笑われるようなことを言ったかしらと首を傾げると、大きく息を吐いた浩大が陛下に報告をして来るから、笑い終えた桐とゆっくり戻って来るように言い残して消えて行ってしまう。 残されたユーリは、身悶えしながら痙攣に戦慄く人物と二人、見知らぬ庭園に立ち竦むしかない。 



「・・・・悪かった。 流石お妃と同じ顔だ、物言いまで似ている」
「褒め言葉、ではないようだけど、謝罪してくれたってことは少しは信用してくれたのかな」

しばらくすると痙攣男はゆっくりと背を伸ばして、軽い咳払いをした。 ようやく笑い続けることを止めてくれたようで、桐なる人物は飄々とした顔になり、首をこきこきと鳴らす。 
しかし信用してくれたのか問い掛けてみると、細めた目で首を傾げられた。 
まだ全部は信じきれていないのが伝わって来るから、溜め息を吐くしかない。 
でも仕方がないと思う面もあり、今は考えないことにするかしない。 自分だって逆の立場ではそう考えるだろう。 突然現れた人物が異世界から来たなんて、おまけに国王陛下唯一の妃と同じ顔で現れ、言っていることを全て鵜呑みにしろと言われても、すぐに信じられる訳が無い。

「いいです、信じてくれなくても。 でも悪い人間ではないから、それだけは信じて」
「会ったばかりの人間を信じていたら、警護など出来ぬが」
「・・・・・・そーですね」

さっきまで痙攣を起こしていたとは思えぬ無表情な顔で上から見つめられる。 だけど会話してくれているのだから、多少は気を許してくれているのかな。 
そう思い込むことにしよう。 じゃなきゃ落ち込んでしまう。 

「浩大にも言われていたようだが、今後は一人で庭園を歩くのは止めた方がいい。 どうしても歩きたいなら侍女を伴うべきだ。 一人では危険と判っただろう」 
「夕鈴さんは時々狙われることがあるの? 後宮ってお妃様がいる場所で、警護が厳しい場所なんでしょう? 国王陛下の奥さんのいる場所なんだし」

王宮ってホワイトハウスみたいな場所でしょう? セキュリティに関しては国一番厳しい場所のはず。 容易に侵入者が来て、それが妃狙いだなんて有り得ないとユーリは眉間に皺を寄せて痙攣男を見た。 

「幾ら警護をしていても入り込もうとする輩は減らない」
「・・・・夕鈴さんも大変ね」
「王の寵愛を独り占めされるということは妬み嫉みも一身に受けるということ。 その独り占めを欲しようとする蠅は幾ら取り除こうとも絶えることがない。 その蠅を引き寄せる立場でもあるお妃の苦労も、まだしばらくは続くだろうな。 あとは貴き御仁の御心次第か?」

蠅を引き寄せる立場って、お妃様に対してただの警護者が言うことかしら?
貴き御仁って、国王陛下のことでしょう。 その心次第って何?
言っている意味がよく理解出来なくて首を傾げるが、それ以上は話す気は無いようで、桐は戻るぞと短く言い放ち、背を向けた。 彼にも通常の仕事があるのだろうと思い、ユーリは眉間に皺を寄せたまま渋々従うことにした。 

顔を上げると少しだけ冷たい秋の風が頬を横切っていく。 どこまでも続く見慣れない瓦屋根が赤く染まりつつある風景に、ユーリは眉を寄せて唇を噛んだ。




その日の夜は宛がわれた部屋で一人考えた。 
私はナニをしてこの世界に来たのかと。 
もしかして夕鈴さんのように何処かから落ちたのだろうか。 でも、いくら考えても落ちた記憶がない。 それどころかスーツを着ていたということは、休日ではないのだろう。 
仕事に行く前だったのか帰りだったのか、それさえも記憶にない。 
ふと、いつも持っているバッグがないことに気付き、目が覚めた寝台にあるかしらと思い部屋を出ようとして、足を止める。

こんな遅い時間に夕鈴さんの部屋に行って、もし国王陛下が居たらどうしましょう。
御夫婦なんだから、つまり、うん、そういうことも・・・・あるのが当たり前よね。
夕鈴さんが後宮から消えたばかりだ。 あれだけ不安そうだった陛下が妃の部屋にいるのは想像に易い。 そんなところに顔を出す勇気なんてない、ない! 
 
赤く染まる頬を押さえて、寝台に転がると見慣れない天井が目に映る。 
じわりと増す不安を溜め息で覆い隠すしか出来ない。
瞼を閉じると黎翔の顔が浮かんだ。 急に姿を消した自分を心配しているだろうと思うと同時に、泣きたくなるほど情けない考えを浮かばせた自分が嫌いになる。

夕鈴さんが黎翔の許に、アメリカに行っていなくて良かったと安堵する自分。
もう二度と彼女に会って欲しくないと思う醜い気持ち。 

数回会っただけの大企業の会長という立場の彼に、何故他社の一社員である自分が執着されているのかが解からず困惑した。 そして聞かされた夕鈴さんの存在。 
会長である彼が求め望んだ彼女に酷似しているという自分の容姿に愕然としたのを思い出す。 
今は私自身の内面が好きだと言ってくれているが、きっかけは夕鈴さんと同じ顔だったからだ。 
夕鈴さんと同じ顔でなければ、声が掛かることもなかっただろう。

今更、それを考えてどうする。 既に互いの気持ちを知り、離れたくないと結婚したのに、こんなにも揺れる自分の心が黎翔を裏切っているようで気持ちが悪い。 
まだ黎翔の気持ちを信じていないのかと自問自答する。 
そんなことはないと思いたいのに、もしも夕鈴さんがアメリカに姿を見せていたらどうだったのだろうと想像してしまう自分が本当に嫌になる。 

信じている。 信じているからこそ悩んで悩んで、そして差し出された手を掴んだのだ。
夕鈴さんというきっかけがあったからこそ、二人は出会えたのだと感謝もした。 

それなのに、どうして人の心というものは揺れ惑い、容易に闇へ落ちようとするのか。
好きだからこそ、相手の心の奥底まで欲しいと醜く足掻くのか。 
消せはしない過去にまで嫉妬する自分が・・・・・嫌いだ。

左手をそっと包み込む。 
確かめるように何度も指輪に唇を押し当て囁きを落とす。

「絶対に戻るから。 だから・・・・私を待っていて」








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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

パラレル | 00:10:05 | トラックバック(0) | コメント(7)
コメント
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2013-10-14 月 01:04:43 | | [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメントをありがとう御座います。ああ、素直になるかな。なったらなったで黎翔が心配になったりして。桐、いいですか。ありがとう御座います。ほっとしました。(笑)
2013-10-14 月 01:32:44 | URL | あお [編集]
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2013-10-14 月 20:23:25 | | [編集]
Re: タイトルなし
名無しの読み手様、コメントをありがとう御座います。桐を壊すのは楽しいです。が、遣りすぎると夜枕元に立たれそうで怖いので、これくらいにします。次も桐が出てきますが、オリキャラ同士なので、これくらいはいいかなと遊んでいます。W黎翔は怖いですね。嫁自慢しそうです。(笑)夕鈴が茹りそうで可哀想?
2013-10-14 月 22:40:41 | URL | あお [編集]
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2013-10-15 火 10:10:48 | | [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメントをありがとう御座います。携帯から見にくい時があるとの事、娘と私、それぞれの携帯から確認したのですが、大丈夫でした。仕事中なので詳細を調べるのがいまは難しいのですが、PC確認も夜にさせて貰います。「→ 次へ」の設定がおかしいのかな??すいません、確認いたします。他から苦情は今のところないのですが、またお知らせ下さいませ。
2013-10-15 火 12:32:52 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、確認して同じようにCMばかりのページに飛ぶのが判りました。で、、サイト名のたぶん左横に小さな▼ボタンを押すと、最新記事へいける場所がありますので、そちらからお願いします。急ぎ娘にその画面をスマホ用に作って貰いましたので、御参照下さい。
2013-10-18 金 17:45:58 | URL | あお [編集]
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