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錆びた逃避思考  8
やっと姜さんが出せました。こんなにかかるとは思っていなかった。つい、間にどんどん話を突っ込んでしまう悪い癖が出てしまう。ここからはサクサク話を進め・・・・・られるといいな~(いつものことですが)
娘にせがまれてハイキュー!CD付きを購入。小説版も1.2巻購入。もう、声優陣に萌え!!


では、どうぞ












自分はバイト妃だ。 
陛下の御世が盤石になるまでと、陛下の二面性を知られたくないため、雇われた臨時の花嫁。 
バイト期間が終われば王宮から消える立場で、本来なら陛下の傍に近寄ることも、顔を見ることも出来ない身分だ。 いつか陛下の叔母である瑠霞姫が集めた貴族息女たちの中から、誰かが正妃、または妃として後宮に住まうことになるだろう。 そんなの解かっている。 
だけど今は、今だけは私が陛下の唯一の妃。 
心しか添うことが出来ないけれど全てを陛下に委ねて、そして私の全てで陛下の敵を減らすよう努めるだけだ。 囮を兼ねているのを承知しているのだから、こういう時にも落ち着かなきゃ駄目だろう。 
ただ怯えているだけじゃ役に立たない。
どうにか・・・・動けないかな。
背中に括られた手を動かすと足首を縛っている縄に繋がっているのが判る。 せめて手は手、足は足で縛ってくれたら良かったのに。 足だけでも解けたら逃げ出すことが出来るのに。 しかしどんな状況でも諦める訳にはいかない。 寒くて手が上手く動かないけど、動かすしかない。 
少しでも緩むように、姜が戻って来る前に逃げ出せる機会を自分で作らなきゃ駄目だ。
今は余計なことを考えずに、縄を解くことだけを考えなきゃ・・・・。 
そう思うのに姜から聞かされた言葉と浩大の痛ましい姿を思い出し、手から力が抜けてしまう。
 


浩大は黒い網で捕らわれた後、同じ馬に乗せられた。 山を抜け、町に入ったところで荷台を付けた馬が待っていて、そこに転がされた浩大と目が合ったのを思い出す。 浩大が不敵に笑みを浮かべるから、私は泣きそうになりながらも笑みを浮かべることが出来た。 
まだ暗い町中の門を幾つか潜り抜け、連れて来られたのは大きな貴族の邸らしい場所だ。
寒さで強張った身体は引き摺られるように邸内へと連れて行かれる。 同じように黒い網ごと荷台から下ろされた浩大は歯向かうことなく大人しくしているから、私も黙ったまま足を動かした。 網に捕らわれたまま引き摺られる様に眉を顰めるが、それでも浩大は笑みを浮かべ続けているから、鼻の奥が熱くなり我慢しきれずに涙が零れてしまう。 堪えきれずにしゃっくり上げると浩大から声が掛かる。

「お妃ちゃん、何も心配ないからね。 大丈夫だよん」
「・・・・・浩大」

この先を思うと、私の心配より浩大に降り懸かるだろう危険に胸が押し潰されそうになる。 
それでも浩大は笑って大丈夫だよを繰り返した。

その後、武器庫のような部屋に入れられた私たちは黒衣の男三人に縄を縛り直され、冷たい床に転がされる。 全身に恐怖が這い上がるが、浩大がずっと笑みを浮かべて大丈夫だを繰り返すから、私も口端を持ち上げることが出来た。 怖いけど浩大がいてくれる。 きっと陛下も来てくれる。 それだけが心の支えだと強張った笑みを浮かべる。
だけど、それは束の間の笑みだった。
拷問としか言えない仕打ちに浩大が寡黙に耐え続けるのを目にして、私は我慢出来ずに暴れ叫んだ。 止めてくれと何度叫んだだろう。 何故そんなことをするのかと、妃が邪魔なら私を傷付けろと、何度も何度も泣き喚き叫んだ。 縛られた縄が手首を擦り痛みを訴えるが、それよりも目の前の惨劇の方が恐ろしく痛いと悲鳴を上げる。 
浩大の頬を打つ鞭が血飛沫を散らし、太腿から引き抜かれる刃に滴る紅いモノが私の胸を抉る。 
だけど痛いのは、辛いのは浩大で、私じゃない。 
引き摺られた浩大が部屋の片隅に置かれた大きな水甕に沈められ、私はさらに暴れた。 
目の前の光景に、思わず私はバイト妃だと叫びそうになり、そのたびに浩大の目が私を捉える。 幾度も水甕に沈められ、だけど顔を上げるたびに私を捉える視線が口を閉ざしていろと強く訴えるから何も言えなくなる。 唇を強く噛み、浩大がここまでする必要はあるのかと、歪んだ視界に見える世界が酷く哀しいと涙を零す。
濡れたままじゃ冷たかろうと、そのまま床上に放置された浩大へと必死ににじり寄る。 動かせる腕で彼の顔を拭うと袖があっという間に赤く染まった。

「こ、浩大・・・・・ごめんね。 ごめんねぇ・・・・」

僅かに目を細める浩大の声を聴くことなく私はその部屋から引き摺るように連れ出され、目隠しと猿轡を噛まされると再び何処かへと移動される。 荷馬車に押し込められ、しばらくは止まらない涙で震えていると何かを嗅がされた。 鼻が詰まっていたが、呼吸を長く止めることなど出来ない。 頭の芯が大きく揺さぶられるような眠りに堕ちていく自分を、私はどうすることも出来なかった。
そして目が覚めると白一色の部屋で、柔らかな笑みを浮かべた姜が姿を見せたのだ。








工望に到着するも町の外周壁にある門は時間前ということもあり、閉ざされたままだ。 だがこの門を潜り、中に入ったのは承知している。 町の南側に位置する奴の邸も頭の中に入っている。

「町を統治している奴にとって時間外の開門など楽なものだろうな」

もちろん開門時間まで悠長に待つ気はない。 工望に潜ませている隠密が屋根伝いに姿を見せ、動きを報せて来る。 直ぐに門番を黙らせ開門させたままにさせるよう指示し、動きがあった邸へと馬を駆らせた。 あと二区画過ぎると邸が見える場所まで来ると、隠密が再び姿を見せる。

「陛下、浩大は例の店に居ります」
「案内しろ」

この町の情報収集場所として用意されている薬店の裏口から入ると、寝台に横たわる浩大がいた。 
腫れ上がった顔と四肢に巻かれた白い包帯から滲む血が、何があったのかを伝えて来る。

「邸に連れ込まれたまでは一緒だったんだけど・・・・その後、離されちゃった。 悪い、陛下」
「わかった。 直ぐに向かう。 お前はこのまま待機だ」
「了解・・・・。 これじゃあ、戦力外だもんな」

浩大がいつもの調子で口端を持ち上げると眉が顰められ痛みに顔を歪める。 そして、困ったような顔を陛下に向けると 「お妃ちゃんにさ、やられているところを見られちゃった」 と呟いた。 

「夕鈴に怪我は?」
「きつく縛られているから縄であちこち擦れているかも。 それに薄着で風邪は間違いなし。 相手の出方が判らないから、この先が心配。 ・・・・あと、次の町へ移動したらしい」
「そうか。 夕鈴が心配するだろうから、早く治せ」

骨もやられているのだろう、腫れた顔が赤黒く変色している。 薬店の密偵に浩大を任せ、そばに控える隠密に視線を投げると、二台の馬車に分かれて邸を出たという。 どちらにも 『目』 を付けているが、まるで誘いを掛けているようで、その実何がしたいのか未だに意図が見えない。 あの穏やかな姜に何があったのだと理解出来ないまま、陛下は店を出た。
後方から追い上げて来た騎馬隊と合流し工望にある姜の邸内捜索を任せ、その後到着する予定の騎馬隊は姜の別邸及び親類邸の捜索をするよう告げる。 町から移動した馬車に妃が乗っている可能性があり、先にそれを追うと伝えると方淵が同行すると訴えて来た。 浩大が乗っていた馬で騎馬隊と共に来たのか、無言で手綱を引くと、そのまま後から付き従うように駆けて来る。 桐は既に邸から出た馬車を追っているのだろう、邸から東西へと分かれる道にそれと判る発煙筒が置かれていた。 

「・・・・この発煙筒は、敵の誘いですか?」
「誘いだとしても進むしかないな」

発煙筒に訝しげな視線を落とした方淵が険しい声で問い掛けて来たが、詳細を言う暇もない。 
徐々に明るくなる町を疾走しながらその後山へ入り、そして次の町へ到着した。 発煙筒の指示に従い馬を駆らせ続け、着いた先には大きな邸が現れる。 周囲には竹林や畑が広がり、町外れの閑散とした場所に似つかわしくない壮麗な建物だ。 馬から降りた方淵が邸の門を叩くが、門は動かず返答もない。
振り返った方淵は陛下に眉間を皺を寄せて進言した。

「この先、邸内にどのような仕掛けがあるか判りません。 後続の騎馬兵を待たれた方が」
「我が妃が待っている可能性があるというのに、何故他の男を待たねばならぬ?」

暁光に浮かぶ王の冷笑と凄味に、方淵は黙して門から離れた。 
勝手口に回るとすんなり開き、正門を大きく開いた後、方淵は仕掛けがないか確かめるために静かに足を進める。 広い庭園が広がり、大きな池もある。 全体的に白を基調とした壁がどこまでも連なり瑠璃瓦が朝日を反射して輝き、辺境貴族の別邸にしては豪奢な造りに見えた。 蹄の音が聞こえ、振り返ると陛下が自分が乗って来た馬と共に敷地へ踏み入って来たのが見える。 
やはり待ってはくれないかと方淵は秘かに息を吐き、陛下へ駆け寄った。 何処がいいのか未だ理解出来ないが、陛下はあの妃に御執心の様子。 一刻も早く連れ戻さないと、このままでは政務が滞る懸念が生じる。 

「人の気配がしませんが・・・・この邸にお妃様がいらっしゃるのでしょうか」
「判らぬな。 罠だとしてもひとつずつ潰すしかあるまい」
「・・・御意」

方淵が邸の裏手に回り、周囲の探索に向かう。 
方淵の姿が見えなくなると屋根から降りて来た桐が跪き、顔を上げた。

「邸東側の部屋に姜がおりました。 お妃の行方は引き続き探しております」
「夕鈴がいる可能性は高いか」
「姜だけが部屋で寛いでいるのは確認済みです。 お妃がいる可能性は高いでしょう。 正直、全ての部屋を見分しておりませんので、お気を付けてお進み下さい。 ・・・・浩大の様子は?」 
「見た目は酷いが、命に別状はない。 だが夕鈴が見たら泣くな・・・・」

小さく頷いた桐が素早く姿を消すと同時に、方淵が戻って来た。

「邸周囲に人の気配がありません。 しかし広間が開けられたままで容易に中に入れます」
「ここまで来たんだ。 誘いに乗ってやろう」

下馬した陛下が方淵と共に邸に入ると、異様なほど甘い香に出迎えられた。






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 02:05:08 | トラックバック(0) | コメント(12)
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2014-01-06 月 06:40:34 | | [編集]
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2014-01-06 月 10:53:51 | | [編集]
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2014-01-06 月 11:46:45 | | [編集]
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2014-01-06 月 17:12:53 | | [編集]
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2014-01-06 月 19:23:17 | | [編集]
Re: タイトルなし
ぽんちゃん様、コメントをありがとう御座います。壊れた人っぽいに爆笑です。ありがとう御座います。漸くここまで書けてほっとしているところです。陛下の台詞にもドキドキして頂き、嬉しいっす。夕鈴が風邪をひく前に早く助け出したいと思っております。
2014-01-06 月 20:58:04 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメントをありがとう御座います。ブラック陛下、久し振りに降臨です。どうぞ、よろしく・・・と言いたいところですが、方淵が邪魔!にコーヒー噴き出しそうになり、激しく噎せ込みました。危ない。マジ驚いた。(笑)桐がお好きで嬉しいです。はい。
2014-01-06 月 21:00:48 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメントをありがとう御座います。そしてお帰りなさいませ。仕事再開でここからはのんびり運転になりますが、のんびりお付き合い頂けたら嬉しいです。痛いことになっている夕鈴と浩大ですが、その分は陛下には頑張って貰いましょう。暗い展開となる話でビスカス様が癒されるかが問題ですが(笑)
2014-01-06 月 21:03:19 | URL | あお [編集]
Re: 始めまして。
隠密様、コメントをありがとう御座います。そして初めまして。お好みの話があったとのこと、嬉しいコメントです。ありがとう御座います。夕鈴と隠密の絡み。浩大・・・・でいいのかしら? 一番絡んでいるのは「頑固な迷路」かな。 ちょっと遣り過ぎた感が否めない話ですが、アレはお好みですか?
2014-01-06 月 21:06:44 | URL | あお [編集]
Re: 看病
ぶんた様、コメントをありがとう御座います。棚卸の恐怖は存分に承知しております。面倒という言葉と、結果を知った時のがっかり感。だけど必要性も承知で・・・・。頑張って下さいませ(としか、言いようがない:涙)水曜日から学校再開の娘は連日渋谷や池袋で遊び回っています。おお、浩大看病か。お仕置きありで。思わずニヤリとしてしまいそうです。そして、日本男子バレーには本当に頑張って貰いたい! 夜中の春高バレーが楽しみです!
2014-01-06 月 21:24:30 | URL | あお [編集]
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2014-01-10 金 18:40:34 | | [編集]
Re: ありがとうございます。
隠密コメントをありがとう御座います。いろいろな話を考えてますが、浩大は基本脇ですいません。でも活躍の場は出来るだけ出したいなと思ってますが、浩大主役の話は・・・・「看・癇・喚」でしょうかね。主役ではないか。可哀想な人になっていますね。(笑)これからも個人的感想、ばんばん待っています。
2014-01-10 金 21:48:31 | URL | あお [編集]
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