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骨折り損の

『腹黒シリーズ』短編です。 陛下が妙な具合に飛び跳ねていますので御了承の上ご覧下さいませ。 なお、このシリーズは過去作品を修正したものです。 夕鈴はバイト花嫁です。 本来の作品より、とても辛辣な言動が多いことを御了承下さい。 


では、どうぞ







「ねえねえ、夕鈴。 好きって言って?」
「好き」
「ありがとー、夕鈴。 嬉しいな。 ね、もう一度言って?」
「好き」
「いっぱい言って欲しいな。 ね、好きってもっと言って?」
「好き好き好き好き好き好き」
「・・・・・・・・目、開けていい?」
「どうぞ」

好きの言葉に胸をときめかせながら目を開けた陛下は、眩しさに瞬きながら愛しい妻を探す。 すると夕鈴は椅子に腰掛け背を向けており、その視線は卓上の書簡に落ちていた。

「え~、僕の顔を見て好きって言って欲しかったよぉ」
「そこまではお約束しておりません」
「でもでも、好きって言う時は心を込めて、相手を見て言った方が気持ちが伝わると思うんだ。 あ、夕鈴の気持ちは解ってるよ? 妻として、いつも僕のことを想っているのは知っているけど、言葉にする時はやっぱり互いの目を見つめ合った方が気持ちがたくさん伝わると思うんだよね」
 
語り続ける陛下を放置して立ち上がった夕鈴は、読んでいた書簡をまとめて部屋を出ようとした。 
 
「・・・え? 夕鈴どこに行くの?」
「書簡を返しに書庫に行くのですが、それが何か? それよりも陛下。 御休憩が御済でしたら、速やかに執務室へお戻り下さい。 李順さんがこちらまで来ると面倒なんですよ」
「もう少しだけ! 仕事にはちゃんと戻るから、もう少しだけ夕鈴の側にいたいよぉ。 今度は見つめ合って好きって言って? 今度は僕も言うから、見つめ合って手を握って。 ねぇ、ねぇ」
「じゃんけんに負けて陛下の言う通り、命じられた言葉を言いました。 もうお終いです」
「じゃんけんに勝ったのに、目を瞑ってたら勝った気がしないよ~。 直接言えないだなんて、本当に夕鈴は恥ずかしがり屋だね。 それなら手を握って互いを見つめ合うっていうのは?」

楽しそうな陛下に呆れた夕鈴は、大きな溜め息をひとつ吐いた。 

陛下は突然妃の部屋に現れ、驚く侍女を下がらせたと思ったら 「じゃんけんしよう? 勝った方の言うことを何でも聞く条件で」 と言い出した。 政務の合間に脱走して来たのだろうことは明白だ。 側近には休憩して来ると承諾をもらったと言うが、確かめるすべはない。 秋も深まり、各州から様々な報告が舞い込む時期に、一刻も休憩しているなど李順さんが許すはずもない。

「私は勝った陛下の言うことを聞きました。 他の方の前ではちゃんと寵愛されている妃を演じます。 だけど今は見つめ合う必要も、好きと言う必要もありません。 演技だって最近は上手く出来てますし、李順さんから指導を受けることもありません。 じゃんけんで無理やり演技練習しなくても、大丈夫です!」
「でもぉ・・・、時々心配になるんだよねぇ、夕鈴の演技・・・・」

聞き捨てならない台詞が耳に届き、夕鈴は目を瞠った。 仰ぎ見れば、そこには冷やかな笑みを浮かべて両手の平を上に向け、肩を竦める陛下の姿がある。 
聞き間違えでなければ、陛下は夕鈴の演技が心配だと言った。 

「・・・・李順さん仕込みの私の演技が心配と?」
「だって夕鈴、 『好き』 の一言にすら気持ちを込められずにいるでしょ。 そんな調子じゃ、他の人の前でちゃんと出来ているか心配にもなるよね~」

僕から駄目出しされた夕鈴は、見てわかるほどに顔を強張らせた。 書簡を持つ手に力が入ったのだろう、それは身体全体を震わせ、固く結ばれた唇も戦慄いて見える。 
真面目で頑固で融通の利かない可愛い妻は、僕の言った言葉にひどく憤り、感情露わに睨み付けてきた。 止めとばかりに薄笑いを浮かべて溜め息を吐くと、単純で可愛い夕鈴は持っていた書簡を卓に叩き付けるように置き、胸を反らして僕を見上げる。 

「では、陛下が恐れ戦くような完璧な妃演技をお見せ致しましょうか?」

挑戦的な視線は射竦めるように僕を捉え、望んでいた『見つめ合い』に僕は口を歪ませる。 それを更なる侮辱だと勘違いした夕鈴は、僕の手を取り長椅子へと誘う。 
可愛い妻からの誘いに、僕はもちろん素直に従った。



本当に君は可愛い。 
退くに退けなくなって僕の膝の上に囚われた夕鈴は、僕が呼び戻した侍女の手前、引き攣った笑顔でいちゃつくしかない。 抵抗出来ずにされるがままの夕鈴を愛でまくっていると、とうとう涙目で震え始めた。 潤んだ瞳で見上げながら、それでも 『降参です』 とは言わない。 

ああ、この愛しい兎をどう料理しようか。 
想像するだけでも充分楽しいが、それだけでは満足できない。
我慢も限界と侍女を静かに下がらせ、まずは美味しそうな頬を舐めてみた。 膝上の兎は声無き悲鳴を上げて大きく飛び跳ね、僕を楽しませてくれる。 もう一度舐めると俯かれてしまったので、次は持ち上げた手の甲、指先、手首をじっくり味わう。 ビクビクと跳ねるように震える兎に、僕は目を細めた。
まだ侍女がいると思っている夕鈴は必死に耐えているが、甘い喘ぎが漏れ始めるも時間の問題。 
眼下では、ふっくらした耳朶がぷるぷると誘うように震え、ほんのり色付く項が色っぽい。 

さて、どこから食べようか。  
もちろん肉一片も残すつもりはない。 
では、いただきます!



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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

短編 | 14:14:14 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
夕鈴はどこまでも負けず嫌いですねー!
上手く煽られているのも気づかずに陛下の策に自らどんどん嵌まっていく...
(^^;

こちらの夕鈴は実際のところ陛下をどう思っているのでしょうか。意地悪をされなくなったら寂しく少しは思ったりするのかなぁ。
2015-11-08 日 08:31:59 | URL | ハニー [編集]
Re: タイトルなし
ハニー様、コメントをありがとう御座います。負けず嫌いの夕鈴がドツボに嵌まるのが哀れでなりません。(笑)単純な夕鈴も、ここで世の無常を勉強するのでしょう。その勉強がどこでどう役立つのか不明ですが、陛下が楽しいならいいんです。『腹黒』シリーズの夕鈴は、陛下を毛嫌いしています。だけど怒鳴ってばかりではいられない気性なので、時に墓穴を掘ることも多々あるでしょう。 少しでも楽しんで頂けたら、幸いです。
2015-11-08 日 17:50:10 | URL | あお [編集]
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