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夫の心妻知らず

唐突ですが、現在コミック派の私です。溜まりに溜まった本の整理をしようと思い、結果、読み耽ったある日の夜、陛下と夕鈴がくっついて、らぶらぶ~と老師がクルクル踊っている夢を見ちゃった。 どうしたんだろう、私。(笑) んで、仲良し夫婦設定を書きたくなりました。 『もしもシリーズ』とは違うので、今回は『短編』に入れちゃいます。 
話変わって、去年娘から貰った誕生日プレゼントは観劇。 それも今回が千秋楽だった作品で、夏に 「いいね、これ観たい」 って言ったことを覚えていた娘からの、時間差のプレゼントです! 観劇に感激! ただ・・・娘の誕生日は今月。 何を贈ろうか思案中。

では、どうぞ






「ゆーりん、寒くない?」
「大丈夫・・・、ですから、動かない・・・で、下さい・・・」
「日差しはあるけど、冬だからさ。 寒かったら部屋に移動しようね」
「しゃべら・・・ない、で・・・」

後宮庭園の奥にある池の畔、そこに据えられた長椅子の端に夕鈴は腰掛けていた。 その膝上には陛下の頭が転がり、そして陛下の身体が少し丸まった状態で椅子上に横たわっている。 
さらに夕鈴の手には耳掻き棒があり、先端にある小さな匙状の部分を陛下の耳中に突っ込んでいる最中。 幾度も陛下に請われていた 『膝上ごろんで耳掻きいちゃいちゃ』 を実行中なのだ。

「太もも、柔らか・・・至福って、こういうことだって実感中です」
「口を動かさない・・・と、言っている」
「ごめんね、すごっく嬉しくて」
「ああ、もう! しゃべらないでって何度も言っているじゃないですか! 危なくって動かせません! もう止めますよ? もし怪我させちゃったら李順さんに殺されちゃいます!」

両手を上げて怒り出した夕鈴に陛下はぐずり出し、止めないでと懇願を繰り返す。

「ええー、夕鈴。 そんなに怒らないでよぉ。 もうしゃべらないって約束するから、お願い」
「何度目の約束ですか! 青慎にするのとは違うんですよ? 陛下の耳掃除をするなんて、緊張しない方がおかしいんですからね! 陛下はご自身の立場を理解してますか!?」
「うん、僕は君の旦那さんだよねー。 ねえ奥さん、耳掃除の続きをお願いします」

もう何度目だ・・・と溜め息を零し、それでも夕鈴は知らず口元を緩めながら陛下の耳朶を優しく引っ張る。 きゃんきゃんと互いに文句を言い合いながら、久し振りの二人で過ごせる貴重な時間を嬉しく思い、少しでも傷付けないようにと真剣な顔で陛下の耳奥を覗く。 
だけど晴天にもかかわらず冬の日差しは柔らかく、慎重を要する耳掃除には光量が少なすぎる。 それでも耳朶を引っ張り角度を調整し、真剣に覗き込む夕鈴を邪魔するのは陛下だ。

「ゆーりん、鼻息くすぐったいよぉ」
「しゃべらないと、何度言ったら、理解する・・・」
「ちょっと耳が痛い」
「ああっ、ごめんなさい! ・・・もう止めま・・・・っ!」

集中し過ぎたと顔を持ち上げかけた、その瞬間、白いモノを発見する。 
そっと耳掻き棒を刺し込むが、自分の手が邪魔でよく見えない。 
角度を変えると白いモノは視界から消えてしまい、夕鈴はジレンマに陥った。
これは・・・・取りたいっ!
しかし覆い被さると影が出来、耳朶を引っ張ると陛下が痛がる。
夕鈴はしばらくの間、じっと陛下の耳奥を睨み続け、そして顔を上げた。
周囲を見回し、人影がないことを充分確認する。 耳を澄ますと庭園の木々で囀る鳥の声がするが、他は何も聞こえてこない。 膝上で咽喉を鳴らす狼がいるだけで、人払いは完璧にされている・・・・と、思われる。 しかし、ここには陛下と妃がいるのだ。 絶対に、奴らはいる。 

「こぉーだぁーいぃーっ!」
「うわっ!? どうしたの、夕鈴!」
「浩大っ! ちょっと来てーっ。 頼みがあるのぉ!」
「なんで浩大を呼ぶの? 二人っきりの甘い時間に、何故他人を?」
「いるんでしょー? 浩大っ、浩大ーっ!」

僕の叫びを無視して、愛しの妻は他の男の名を叫び続ける。 頭を押さえられ (簡単に起き上がれるけれど、それは置いておいて) 僕の耳朶を引っ張ったまま叫ぶ。
やがて下草を踏む音が聞こえ、恐々といった態の声が聞こえてきた。

「・・・お妃ちゃん、オレの寿命を縮める気か?」
「何を言ってるの。 それより、鏡を持って来て欲しいのよ。 頼める?」
「鏡? 小さいのでいいなら持ってるけど・・・隠密同士の合図用に」
「流石、浩大! それで充分! すごく助かるわ、浩大カッコいいっ!」
「やめて、お妃ちゃん・・・もう、心臓バクバク・・・」

浩大が懐から取り出した小さな鏡を見て、夕鈴は満足げに笑みを浮かべる。 僕を膝上に乗せたまま、他の男を褒め称える。 蒼褪めた浩大が鏡を置いて逃げ出そうとするのを、夕鈴は押し留めた。 素早い動きで、浩大の手首を掴み、あまつさえ引き寄せながら。

「夕鈴っ!?」
「陛下は動かないで下さい。 浩大、・・・この角度をキープして。 そう、そのまま」
「ゆ・・・うりん?」

突然眩しくなり、僕は目を眇めた。 鏡に反射した光が目元から徐々に移動するのを感じながら、それでも鈍い光に目を眇めたまま上を見上げる。 真剣な夕鈴の表情に瞬きし、そろりと顔を動かそうとして怒られた。

「動くなと・・・言っています。 浩大、もう少し・・・奥まで届くように」
「こんくらい? どう?」

調整が巧くいったのか、夕鈴が小さく頷く。 その時、肩にかかっていた髪が滑り落ち、僕の頬を擽るように掠めた。 耳を引っ張る手が僅かに震えたのを感じ、そっと視界を上に向けると夕鈴の眉間に皺が寄っているのが見えた。 折角、耳奥まで光が届き、よく見えるようになっただろうに、落ちて来た髪が邪魔して視界を塞いだのだろう。
夕鈴の両手は僕の耳に集中している。 浩大は鏡を持ち、動けずにいる。 ここは自分の出番だと手を持ち上げようとして、夕鈴に耳朶を強く摘ままれ阻止された。

「陛下、は・・・動かないで。 ・・・大丈夫、もう一人・・・・、きぃーりぃー、さぁーん!」
「ええー、桐まで呼ぶの? 二人きりの甘い時間に、どうして僕以外の男を二人もぉ!」
「桐さんっ! ちょっと、お願いっ! 頼みますーっ! 浩大、鏡を動かさないで!」

肩を揺らして笑う浩大の手元が揺れる。 眩しさに目を何度も瞬きながら、僕は必死に夕鈴を止めようとした。 だけど真剣な顔で僕の耳に視線を固定した夕鈴は、僕の鼓膜を破壊しようとでも思っているかのように大声を出す。

「・・・お妃、大声が過ぎる」
「桐さん、来た! 私の髪を後ろで束ねて持っていて。 獲物があるのに、髪が邪魔で・・・」
「人払いしてあるとはいえ、大声で何度も叫ばれると、近衛兵が来ると学習出来ないのか?」
「それより先に、お願いします。 髪を・・・そう、そのままで。 浩大、ちゃんと当てて!」
「夕鈴、そこまで無理しなくても・・・、せっかくの二人きりの時間を」
「陛下は動かず、しゃべらず、大人しく・・・・」

夕鈴の背後で髪を掴み持つ桐の視線が意味ありげに、尚且つ楽し気に注がれる。 少し目線をずらすと浩大の下肢が見える。 愛しい妻の視線は耳奥だけに注がれ、夫である僕には絶対動くな、しゃべるなと厳命する。
耳掃除を頼んだのは確かに僕だけど、二人きりでイチャイチャするアイテムとして持ち掛けただけだ。 他の男に、例え僕の配下であろうと、信頼出来る『道具』であろうと、イチャイチャタイムに乱入されて面白い訳がない。 しかし、いくら夕鈴に説いても無駄なのも解かる。 耳掃除をするのに必要だったと、耳掃除を望んだのは誰だと、逆に詰め寄られることは必至だ。

だけど・・・・。

「・・・と、取れました! 取れた、やった! ああ、嬉しいっ」

手巾に獲物をそっと置き、夕鈴は諸手を挙げて歓声を上げた。 満足げな笑みを浮かべ、発掘した物を浩大と桐に掲げるように見せつける。 
花が咲き乱れたような満面の笑みを、最初に見せるのがどうして夫以外なのかと、僕だけが憮然としてしまう。 いくら説いても夕鈴には通じない僕の悋気。 
それを、いち早く察したのは浩大と桐だ。

「お二人の仲が宜しいのは、民にとっても臣下にとっても喜ばしいことで御座います。 ある程度のことは仕事と割り切れる、有能な隠密を配されている陛下に感謝して下さい、お妃」
「桐ぃ、それは辛辣過ぎるって。 まあ、大概のことはなぁんにも気にする必要はないさ。 だけど、おっきな声で隠密を呼ぶのは駄目だよ、お妃ちゃん」
「う・・・ごめんなさい。 でも助かりました、本当にありがとう。 陛下、もう起きて動いていいですよ。 ほら、見て下さい。 ・・・・あの。 痛くはなかったですか? 痒いところはないですか?」

何も言わずにいる僕に、夕鈴は途端に肩を落とし、オロオロと心配そうな顔を見せる。 出鼻を挫かれたとはこのことかと、曖昧な笑みを浮かべながら、背後に回した手で二人を追い払う。
だが珍しくも一礼して下がろうとした二人に、夕鈴が思わぬことを言い出した。

「あの、忙しいところ迷惑掛けちゃったから・・・・二人には今度、何か作らせて下さい」
「・・・・夕鈴?」
「だって、私事で陛下の隠密にこんなことをさせちゃったから、申し訳なくて」
「そんなの気にしなくていいよ。 ・・・・疾く、通常業務に戻れ」

一瞬顔を引き攣らせた二人は、私が舌を打つ前に姿を消した。 
夕鈴に振り回される国王を、きっと後で腹を抱えて笑うつもりだろう。 次に会った時にはそんな気配を綺麗さっぱり消し去り、従順な態を見せるだろうが、奴らの引き攣った顔を、私は今生の果てまで忘れずにいてやる。

それより先ず、二人を罰する前に、無意識に私を翻弄し続ける、この愛しい兎をどうしてやろうか。 きょとんとした顔で、愛くるしい瞳を大きく見開く我が妃は、急に狼陛下の声色を耳にして、しかし何があったのか全く理解してはいない。 ただ意味も分からず戸惑っているだけだ。 

「ああ・・・本当に大きいね。 自分じゃ絶対取れなかったよ。 ありがとう、夕鈴」
「いえっ、お役に立てたのなら嬉しいです!」
「少しも痛くなかったし、痒くもないよ。 弟君は幸せ者だね。 優しいお姉さんに、いつもこんな風にしてもらえて。 羨ましいよ、とっても・・・・」

ほっと表情を緩め、えへへと、淡く染めた頬を指で擦る夕鈴に、私は目を細める。 いつまで経っても夕鈴は出会った時の夕鈴のままで、時にあらぬ方向に走り出す。 それが楽しいと気持ちを綻ばせてくれる時もあるが、今日の暴走は少しやられた感がした。 王である黎翔を、喜ばせること、驚かせること、そして怒らせることも上手な愛しい存在。 
今回はその感情を、短時間に、全て経験させてくれた。

明日の公務は少し遅くなると、今のうちに李順に話をつけておこう。 翻弄された分のお返しは、夜にきっちり、倍以上にして返させてもらうとしよう。 じっくり時間を掛け、夕鈴から滴る蜜とあえかな声で英気を養わせてもらうとしよう。 

「僕もあとで夕鈴にお礼をするね」
「そんな! もう、そのお気持ちだけで充分ですよ、陛下」

褒められたことで更に赤くなった頬を緩ませながら、全身で嬉しさを訴える夕鈴に、陛下は黙って笑みを返した。 赤みを増した頬をそっと撫でつつ、あとで全身をこの色に染めてやろうと思う気持ちを、そっと隠しながら。





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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

短編 | 17:13:10 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
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2016-01-16 土 21:27:31 | | [編集]
Re: タイトルなし
れん様、コメントをありがとう御座います。浩大と桐登場を喜んで頂けて嬉しいです。正式に仲良しらぶらぶ~になったはずなのに、夕鈴は夕鈴のまま突っ走っているから、きっと二人きりの甘い時間も、夕鈴自身がぶっ壊すんだろうなと妄想。次はそろそろ2月のイベント用を修正しなくては。また『腹黒』予定です。・・・・・しかし、私の書く陛下はみな揃って黒いような気がする。全身真っ黒のエロ狼。・・・・・・・・。
2016-01-17 日 11:53:17 | URL | あお [編集]
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