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懐かしい遠い影  2

最近、パソの前で画面とにらめっこが続き、眼がとても辛い。鼻炎薬のせいか、眠気が襲って来て、仕事中ですがガムが必需品。 上司に許可を貰い、噛みながら頑張っています。 フレーバーガムがお気に入りなんですが、仕事に夢中になっている内に飲み込んじゃうんですよね~。(^^;)
ミント系のガムじゃなきゃ、駄目だと知りました。明日はクールミントにして頑張ります。


少しずつ更新しています。陛下がちょっと憐れかも。


では、どうぞ
















「えっと、お妃・・・・ 様は御名を 『南湖様』 と仰るのですね?」
「そうじゃ、何度もしつこいぞ! 一体、何度確認すれば解かるのじゃ!」

寝台に腰掛けた夕鈴の口からは、聞きなれぬ言い回しと言葉使いが零れていた。
呆然とする陛下の代わりに、浩大と老師が現状把握のためにと、質問を繰り返し続ける。

この夕鈴の姿の 『南湖様』 の仰ることには・・・・・・・。

『後宮の、多くの寵妃の中でも、陛下に愛される事№1! 寵妃の中の寵妃で豪華な衣装、宝石に身を包み、艶やかな生活を楽しんでいた、美人寵妃である』

しかし・・・・・

『或る日、或る時、或る場所で、死んだらしい・・・・・』

そこまで話すと眉間に皺を寄せて 「よくは覚えていないのじゃ」 と切ない表情を見せた。

「で、なんでお妃ちゃんの体に?」
「・・・・これが? 掃除婦の姿ではないか! どういう事じゃ?」

彼女は浩大の言葉に寝台より立ち上がり、自身の姿を見下ろした。 その言葉に何と説明をすればいいのか躊躇する老師と浩大。 ようやく気を取り戻した陛下が夕鈴を寂しそうに見詰めて、

「掃除が好きなんだよ、私の妃は。 それで掃除がしやすいようにその格好になっているだけだ。 ただ、掃除好きというのはこの二人の他、側近と私が知っているだけで他の人間には内緒にしている。 判って貰えるだろうか・・・・・ 南湖殿」

そう説明すると、南湖(夕鈴)と目が合う。 南湖は声を掛けてきた陛下をじろじろと無遠慮に上から下まで見定めると、腕を組む。

「お主は此処に控える者共とは、如何見ても違うようじゃな。 今この体を見て、私の妃と申したか? そうか、お主は現在の白陽国、国王陛下か!」
「そうだ、珀黎翔という」

ふぅんと頷くと興味なさ気に自分の衣装を摘み、彼女は眉間に皺を寄せて文句を言い出した。

「取り敢えず、妃の衣装を持て。 この衣装で居るのは辛いのじゃ!」

しかし、侍女に今の夕鈴(南湖)を会わせる訳にはいかず、かといって浩大や陛下が着替えを持って来る訳にはいかない。 ・・・・・一先ずは。













「どう謂うことですか!! また夕鈴殿が何かやらかしたんですか?」

執務室より、人払いされた陛下の自室に呼ばれた李順は敷布を被った夕鈴を見て、眉間に皺を寄せたままその台詞を大仰な溜息と共に吐いた。

「・・・・・誰じゃ、こやつは」

敷布を取り外すと自分と同じように眉間に皺を寄せ、自分に向かって顎を突き上げ横柄に言い放つバイト小娘の態度に李順は愕然とした。

『こやつ? 上司に向かってこやつ・・・・?』

陛下を振り返り見ると、不機嫌な顔で頷いている。 
李順が困惑していると、浩大が窓から現われ説明を始めた。 ・・・・もちろん、哂いながら。



「・・・・そういうことですか・・・・。 はぁ、全くこの小娘は・・・・・」
「黎翔、お主の側近は妃に向かって 『小娘』 とほざいて居るぞ、良いのか?」
「・・・っ!!」

中身が違うと言われても、外見はバイト小娘の夕鈴のままだ。 その姿、その声で横柄にも国王陛下に向かって 「黎翔」 と呼び捨てとは!! 
眼鏡を押し上げながら、憤怒の表情で李順が叫ぶように言い放つ。

「夕鈴殿! 陛下に向かって其の口の利きようは如何かと・・・・! くぅっ!」
(今は中身が違うんでしたね。 ・・・・・覚えて置けよ、小娘め!)

「兎も角、此処に来たらこの衣装は着替えられると聞いたのだ。 早く持て」

そう言うと、掃除婦の衣装をするすると脱ぎ出した。 慌てたのは浩大だ。 夕鈴の手を止めて、「ちょっと待ってね~、衣装を持って来たから隣の部屋で着替えて頂戴ね~」 と夜着を渡しながら伝える。 すると、「くっ」と哂った夕鈴は。

「妾は自身で着替えたことなぞないわ! 誰ぞ手伝いは?」

と、のたまった。 あんぐりと口を開けた浩大は恐る恐る振り返る。
それまで黙っていた陛下が静かに溜息を吐き、浩大に告げる。

「浩大、老師と共に南湖殿のことを詳細に調べよ、早急にな。 死亡原因やその時代の王宮の人間関係を事細かく。 この件は早急に解決させたい・・・・・」

冷たい表情で硬い口調。 浩大はちらりと夕鈴の姿を見ると 「了解」 と一言だけ残し姿を消した。 李順が近寄り、陛下の顔を窺いながら話す。

「・・・で、今晩は夕鈴殿をどう致しましょうか。 隠して置けるのは数日が限度と思われます。 侍女らは一旦宿下がりをさせますが・・・・・・」
「妾はこの部屋で休むのか、それともこの身体の持ち主の部屋か?」

李順がぎっと夕鈴(南湖)を睨み、 「先ずは侍女を下がらせて来ますので!」 と陛下の部屋を退室した。 侍女を下がらせた後、夕鈴の自室で寝かせる用意をするということになるだろう。

「あやつは怒りっぽいのぅ。 で、着替えて良いのか?」

夕鈴の顔できょとんと尋ねられ、溜息を吐いた黎翔は頷いた。

「着替えてもいいけど、遅い時間だからこの夜着になって欲しい。 手伝いはいないが、それ位はどうにか一人でしてくれ。 あとは、彼女の部屋まで送っていくよ」
「・・・そうか。 解かった・・・・・」

真剣な顔で夜着を持ち、隣の寝所へ移動する夕鈴(南湖)。
その姿を眼で追いながら、黎翔は眉間を押さえる。 今の身体を支配しているのが南湖だとすると、夕鈴の意識は何処だろうかと。 困った事態になったと思うが、溜息しか出てこない。 
まったく想定外の行動ばかり取る夕鈴だが、今回の事態は想定外を遥かに超えている。 
苦笑すら出て来ないと、今日何度目かの深い溜め息を吐く。




その時、着替えに行ったはずの部屋から。

「・・・・やぁっ! やああああっ!!」


黎翔の寝所から、夕鈴の悲鳴が聞こえ出した。 逼迫した声に黎翔が部屋に飛び込むと、掃除婦の衣装を脱いだ夕鈴が自身の体を見て悲鳴を上げ続けている。 
その身体には・・・・・・

夕鈴の腕や胸元や腹部、下肢に、紅い筋が幾重にも浮かび上がり、滲むように血が流れ出していた。 胸当てと下穿き姿の夕鈴が蒼白な顔で立ち竦み両手を前に突き出し、震わせながら鏡に映った自分自身を見つめている。

その異様な情景に黎翔が戸惑っていると、糸が切れた人形のように夕鈴の身体が揺らぎ傾いた。 膝から崩れる彼女の身体を急ぎ抱きとめると、蒼白な顔に汗が滲み細かく震えているのがわかる。

『なんだ? ・・・・・・あの傷は!』

確認しようと腕を取ると、傷一つない肌が確認出来た。
胸元にも腹部にも紅い筋はおろか、滲んでいた血も見当たらない。
今見た現実が信じられず眉を顰めて夕鈴を見下ろしていると、彼女の小さく開いた唇が震えながら呟く声を黎翔は耳にする。

「助け・・・・て、お腹・・・・ 子だけで、も・・・・」

その言葉に彼女が死んだ理由が朧気に解かったような気になり、陰鬱な気持ちになる。 
後宮の、後宮たる翳に黎翔は中てられた気分となり吐き気がした。 夕鈴を抱き上げ寝台にそっと寝かせ、呻くように頭を左右に振る夕鈴に覆い被さり耳元へ囁く。

「大丈夫だよ。 君は私が護るから。 大丈夫、安心して休んで・・・・」

そのまま額に手を置き、呼吸が整うまで傍に付いていた。 黎翔の手に安心したのか暫らくすると眉間から皺が取れ、落ち着いた呼吸になり眠りに就いたのが判る。

眠りに就いたその顔は、夕鈴そのままだった。





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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:19:40 | トラックバック(0) | コメント(0)
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