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懐かしい遠い影  5

長くなった!どうしましょう(^^;) 今回全く笑いが無く、手が進まないんです!
おまけにストレスが溜まり、他に手を出してしまって・・・・
あっちの陛下を仕上げてしまいました(爆笑)




では、どうぞ
















「んんっ・・・・。 此処は・・・・・」

寝台で目を覚ますが目の前がぼやけて見える上、横を向いた途端眩暈が襲う。

「お妃ちゃん!? そのまま寝て居ろって、体力温存してよ」
「妾は・・・・。 思い出したぞ・・・・。 あ奴を・・・・」
「・・・っ! 南湖殿?」

振り返った老師は愕然とした。 取り憑かれ、体力を削がれ続けた夕鈴の顔に。

「妾を、御子を殺した・・・・ あ奴を思い出したぞ! お主ら、あ奴をすぐに此処へ連れて参れ! この恨み・・・・ 霽らさで置くべきか・・・・!」

寝台より起き上がろうと肘を突き上体を起こす南湖は下唇を噛み、震えながら燃えるような目で先を見つめていた。 青白い顔も今は憤怒で紅く染まる。

「南湖殿、あ奴とは誰じゃ? 名を覚えておるのか、お主を弑た者の名を!」
「・・・・思い出したのじゃ。 あ奴の名は・・・ 孫蘇望!」

書簡を調べて、その時代在籍した大臣を老師が探し出す。  「・・・・こ奴か・・・」
しかし、時代は流れ今はその子孫が残るだけ。 南湖が探す、自分を殺した犯人はもちろん今は居ない。 恨みを霽らしたくても、逆恨みになるだけ。

「今は、子孫が王宮に大臣として出仕しているけど・・・・。 そいつを連れて来ても意味が無いじゃん? じいちゃん、如何しようか・・・・」
「うう~ん・・・・、まずは得をした妃や孫大臣が受けた利益を探すかのぅ」

現在の国王陛下、珀黎翔には係わり合いの無い事態だが、その唯一の妃の身体に乗り移った南湖の気が霽れないと成仏せず、夕鈴の身体が刻一刻と憔悴するばかり。 バイトとはいえ、陛下が夕鈴を大事にしている事を知っている浩大と老師は心配でならない。 夕鈴自身を気に入っているから、余計にその身体を心配する。

二人が調べ続けている間、また気を失った南湖。 浅い呼吸を繰り返し、やつれた顔で横たわる様に、二人は気が逸る。 
・・・・早く調べて早く 『夕鈴』 を取り戻さなければ。








「・・・・・何か解かったか?」

膨大な政務を急ぎ終え、憔悴しきった顔色の陛下が老師の元へ顔を出した。
山のような書簡を一つ一つ紐解き、相互関係を調べ続ける二人の顔も憔悴しており、両目が真っ赤に充血している。 陛下はちょっと驚いた顔で近付き、二人の肩を優しく労わる。 此処まで解かったこと、南湖の言葉などを陛下に報告し終えると、浩大が
「ちょ・・・・ 腹減ったっすよ、へーかぁ」 と床に倒れた。
タイミング良く、李順が 「お持ちしましたよ」 と台車に食事を載せて持参した。

書簡から一旦手を離し急ぎ食事を開始する二人を見ながら、足元の書簡を一つ持ち上げて、陛下は紐解いた。 寝台で浅い呼吸のまま、蒼白な顔色で眠る夕鈴に胸を痛めながら書簡に目を落とすと、当時、孫大臣が推していた妃の事が後宮管理人の記述で記されていた。


・・・・孫大臣推奨の妃は、大臣の姪で小柄で可愛らしい女性と記されている。
南湖より数ヶ月遅れて後宮入りしたものの、陛下の渡りが少ないことに腹を立てたのか御付の侍女らに陰湿な嫌がらせをしていたこと、よく悋気を起こしていたことなどが記されていた。 
宦官であったとはいえ、後宮官吏人が此処まで詳細に記すほど、後宮全体に知られていた事実だったのだろう。

その記述を読む目を覆い 『ああ、やっぱり後宮は面倒だ。 夕鈴一人でいいや・・・』 と思いながら溜息を吐き、続きを読む。


・・・・南湖が懐妊したと周囲に知られると、陛下が厳重に警護兵を配備した。
過去にも世継ぎ問題が生じて懐妊と同時に殺害される妃が居たため、寵妃に対し警護を施したのだろう。 南湖が陛下に寵愛されていた事が長々と記されており、それに伴い悪戯めいた事故や、命に係わるような事故が多発した事も記されていた。

そして・・・・・・。

孫大臣の姪が、その後懐妊する事はなかったようだが、時の陛下より寵愛を受け、絶大な権力を振るっていた事が記されている。 正妃との間の御子は女児だけで側室の男児がその後皇太子として跡を継ぐ。
正妃に次ぐ寵愛を賜っていた南湖が、もし出産していたら、その御子が男児だったら利益を得たのは梁大臣。 その後孫大臣との確執により王宮より辞退している。

孫大臣の子孫、現在の孫張力が今は王宮へ出仕している。
先刻、謁見してきたばかりだ。 裏でなにやら画策している様子もあるが、狸や狐が跋扈する王宮では珍しくも無い大臣の一人。 その大臣の先祖が南湖を弑し、自己の利益を得たという事か。 昏い溜息を付き、書簡を老師へ渡す。

さて、犯人はわかった。
だが過去の出来事に、今は居ない人物達。 どうしたものか・・・。

老師と共に書簡に目を通していた李順が、ふと何かに気付き眼鏡を持ち上げる。

「孫大臣といえば、管理地での不祥事に関してお目通りを願い出ていましたね。 最近恒例となりつつありますね。 ちょっと調べてみましょうか?」
「・・・・ああ、小さな不祥事を大袈裟に報告し、大きな闇を隠すのが上手な奴らばかりだからな。 今回も其のようだろう。 もう、隠密は放ってある」
「そうですか、報告待ちですね」

今回の不祥事は管轄地方での事務官の持ち逃げ。 金庫を任せていた大臣の責任を問われたが、事前に報告した上、新たな事業開拓を引き換えに謝罪をしてきた。 その前は鉱山での崩落事故。 多大な被害は無かったが、予定より少ない鉄の産出となり利益が大幅に減った。 予定外の事故の為、謝罪をする大臣を罷免する事は無かった。

陛下の頭に浮かぶ孫大臣の顔が厭らしい顔貌に変わっていく。

「もう少し、裏を調べて見てくれ。 子孫の孫大臣は別件で調べている最中だ。 両方上手く片付くといいが・・・・」

寝台で眠る夕鈴の身体を抱き上げると、自身の部屋へ連れ帰る。 一人の部屋で寝かせる訳には、絶対 いかないと足を進める。 李順も反対はせずにだた見送っていた。

「お妃ちゃん、もうギリギリっぽいっすね」

浩大が食後の饅頭を頬張りながら呟いた。 その言葉を黙って耳にする李順。







自室に戻り、そっと寝台に夕鈴の身体を寝かせる。 何度寝かせても、いつの間にか姿を消してしまう妃をじっと見つめる。 たった数日の事なのに、驚くほどやつれた夕鈴に如何したらいいのか焦燥感だけが増す。
頬を撫でると、こけた頬が痛々しい。
出来るだけ夕鈴の身体を休ませて、このややこしい事態を収拾したい。
大きな溜息が知らず零れていた。

卓に座り政務の続きをする為に筆を持ち書簡を広げる。その時ふと孫大臣の言葉を思い出す。

『今回の不祥事に関して、謝罪と共に陛下に新たな事業開拓をお知らせに参りました。 管轄地の道路拡張にて土地の者と合理出来ました事を報告致します』

先の土地での工事を行なう為にも伸びる街道の整備は必要だが、町の主な商店が立ち退きを強固に拒否していたのだ。 その為費用は掛かるが迂回路を作る事に為っていた。
その町の者たちが、手のひらを返したように 『是』 と言ったと報告が挙がったのだ。 迂回路工事は無くなり、予算も予定通りとなる。 孫大臣管轄での金銭持ち逃げは不問とせざるを得ない状況となり、不満は残るが
先送りになっていた事業開拓が進めることに李順を始め官吏は安堵していた。

隠密からの詳細が届くのが待ち遠しい。
筆を走らせながら、待つばかりの身を持て余す陛下。

「・・・ん」

寝台からの声に反応して、思わず席を立つ。 眉間に皺を寄せて掛け布より手を伸ばす夕鈴に近寄り、その手をそっと握る。 その冷たい感触に無性に苛立つ。

「・・・へーか、隠密からの報告が届いたよ。 ここで聞く?」

部屋に訪れた浩大に黙って頷くと、浩大の背後より黒衣の隠密が姿を現す。
その隠密より孫大臣の報告を聞く。












   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・













孫大臣は謁見の間に呼び出されていた。 此度の新規事業に関して、新たに陛下より御言葉があるとのこと。 陛下が場に現われると拱手して恭しく頭を垂れる。

「顔を上げよ・・・・。 孫大臣」

孫大臣がその声に顔を上げると、陛下が妃を抱きながら椅子に腰掛けていた。
驚くが表情には出さずに陛下へと笑顔を向けるが、恐ろしい程の冷たい視線が大臣に向けられ、笑顔が引き攣ってしまう。

「陛下・・・・。 資料は此方に」

側近の李順が陛下に書類を渡す。 大事そうに妃を支えながら、その書類に目を通す。
抱きかかえられた妃は眠っているようで、陛下の腕から動かずに瞼を閉じていた。
その光景に引き攣った笑顔のまま、目が離せないでいる孫に冷たい声が響く。

「街道工事に関して、町の有権者の娘を使い、恐喝まがいの事をしたと報告が挙がっている。 そんな事を命じた記憶は無いが・・・・・」
「そ、そんな事は存じません。 私は町の者と友好的に話し合いを進め・・・・」
「それから」

孫大臣の言葉を途中で打ち消し、陛下は続けて話をする。

「事務官が金銭を持ち逃げしたとあるが、もう決着したそうだな。 ・・・・殺害したのか。 横領は国の内司府で調べて刑を実行する。 大臣自らとは理由がありそうだな」
「な、何を仰っているのか。 ・・・わたくしには・・・・」
「・・・解からぬと申すか。 殺害した事務官は横領で逃げたのを殺害。 そうした方がお前にとって利があったのか。 裏帳簿を盾に脅されていたのか? それとも知られて
 殺害したのか? ・・・・孫大臣よ、答えよ」
「陛下! 私の与り知らぬ話で御座います!」

額に汗をかき、声を荒げる孫大臣。 その背後から黒衣の隠密が大臣に書面を差し出す。
震える手で書面を確認すると、 「ひぃっ!」 と高い声を上げた。







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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 20:40:02 | トラックバック(0) | コメント(0)
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