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想い添うそう  2

あああ、暗い、昏い、闇い! すいません。今回も真っ暗闇夜です。 何故なのか、それは仕事で疲れ果てているからです。  うー。全く、もうっ! 明るい話が書きたいのに!! よし、そうしよう。 ・・・頑張ってみます!



では、どうぞ








体調が優れないので早めに就寝しますと、侍女を下がらせる。 陛下が来るかも知れないと思ったが、逢うのが辛い。 雨が止み、底冷えがする夜。厚い上着を羽織っていても寒い。 このまま寝てしまおうと寝台に横になる。
出来れば夢も見ずに寝られたら、いいのに・・・。

そう願ったのに。



「・・・鈴、夕鈴!」

肩を大きく揺すられ、意識が浮上する。 瞼を上げると、そこには陛下の顔があった。 ほっとした顔の陛下をぼんやりと見つめていると額の汗を拭われ、汗を掻いていたと知る。

「魘されていたから起こしたんだけど、大丈夫? 体調悪いんだって?」

横になったまま、陛下の言葉をゆっくりと飲み込む。

うなされて・・・いた? 覚えていないが嫌な夢を見ていたような気がする。 気分が悪い。 それでも心配を掛けまいと、瞼を下ろしてふるふると首を振る。 そのまま瞼を閉じていると、優しく頬を撫でてくれる。

・・・・その優しさは今だけ。
貴方に相応しい、貴方だけの相手が傍らに立つその日まで、私に向けられる偽りの優しさ。 もう、流れないと思った涙がぽろぽろと零れてしまう。

「熱でも出たのかな? お水飲む?」

優しい言葉を聞きながら、私は先の見えない昏い夢へと沈んでいく。



陛下は泣きながら眠りに付いた夕鈴を見下ろしながら眉間に皺を寄せるも、これ以上は眠りの邪魔になると思い寝台より離れる。 部屋に訪れると、侍女も下がらせて早くから寝ていると知り、そっと寝所へ顔を出した。 体調が優れないって風邪かな? と、寝息の確認だけしようと近寄ると。

「ん・・・うっん・・・やっ・・・くぅ・・・」

急ぎ近寄ると、荒い息でもがくように魘されている夕鈴を見る。 掛け布を強く握る夕鈴の手を包むように握るが、呻く声は変わらない。 肩に手を掛けると細い肩が細かく震えている。 強く揺すると漸く眼を開くが、声を掛けて居るうちに眠りに落ちていった。
涙を流しながら。
一体どんな夢を見ていたのだろうか。
いつも元気な彼女を見てばかりいたから、泣きながら眠りに付いたその姿に胸が痛む。
最近、夕鈴の周囲で変わったことは無いと思うが。
浩大からの報告も変わったことは無かったはずだ。 掃除中にちょっと 「おかしかった」 とは言われたが、どうおかしいのかは不明とのこと。 余計なことで悩んでいるのかなと思うが、魘されるほどとは思わなかった。 正直、夕鈴が落ち込んでいると、係わっている政務事項より気になってしまう。

(李順がそれを知ったら・・・恐ろしい程に叱られそうだけど)





朝日が厚い雲間から差し込む。 この厚い雲が流れたら、暖かい日和になるだろう。
この国にとっても。 そう思うと、雲が流れる様にまで胸が苦しくなる。 わたしの、その考えは陛下に対しての裏切りだ。 ずっと味方でいると言ったのは私なのに。

熱く蒸した布で眼を覆い、充血を取るのに必死な私はぐるぐると同じ事を考え続けていた。
何度目かの溜息を付き、眼から布を外し着替え始める。
今日も掃除に集中しよう。 政務室はきっと今日も荒れているだろう。 妃の存在は邪魔になるだろうし、私自身陛下を見るのも見つめられるのも辛い。

老師はまだ腰が痛むのか姿を見せず、一つの部屋を丸ごと綺麗にすることが出来た。 掃除の出来に満足するが、身体が軋むほど疲労しているのを感じる。 昼を過ぎ、空を見ると厚い雲が流れて日がやわらかに差し込む。 頬に当たる日差しが暖かく、心地良い。

掃除婦の姿では四阿で休む事が出来ないと、妃の衣装に着替えて庭園奥の四阿ヘ足を運ぶ。 
立入り禁止区域からそのまま移動したので傍に侍女はいない。 いつの間にか 更に雲が流れ、日差しが翳る。 四阿にて椅子に腰掛け、ぼんやりと雲が流れる風景を眺めていた。

昨夜、寝所に陛下が現われたような気がする。 先のない昏い夢を祓ってくれたような、温かい手に護られたような気がする。 それはバイト妃が望むには、あまりにも幸せな・・・夢だ。

『見合い』 はどうなったんだろう。 李順さんの興奮した声が再び甦り、胸が痛む。
ああ、どうして思い出すのだろう? 
ちゃんと気持ちを切り替えたはず。 掃除で払拭したはず。 
老師が居ないから肩揉みの練習は出来なかったけど、今出来ることは一生懸命にやるだけだと、決めたはずじゃないか。 自分の立場を思い出し、自覚したじゃない。

・・・・・・・・でも、出来ない。
『御見合い』をして、妃を娶って、正妃を娶って、そんな陛下を見たくないのに、傍から離れるのも嫌だと思ってしまう自分がいる。 椅子の上で膝を抱えて、丸くなって・・・夕鈴は静かに泣き出した。 庭園奥の四阿だけど、人がここまで来ることは滅多に無いだろうけど、泣き声を聞かれたくない。 私だけの想いを聞かれたくない。

『・・・それでも、浩大には聞かれているか・・・』

いつも傍で警護をしてくれる浩大には全て知られている。 それでも涙は止まらなかった。





「・・・妃は、居ないのか?」

夕鈴の自室に足を運ぶが、姿が無い。 侍女が拱手しながら困惑した顔で答えた。

「張老師様の元へ足を運ばれて、そのまま昼餉になってもお戻りになられておりません。 本日は政務室に伺わないと仰られておりましたので、老師様と昼餉を召し上がって居るのかもと思われるのですが・・・」

実は老師のいる立入り禁止区域では夕鈴が掃除をしているため、侍女らは足を運ぶことを禁じられている。 見られると大変だから、仕方が無い。 陛下は無言のまま踵を返し、後宮奥へと向かうことにした。

昨夜の夕鈴が気になり、政務が一区切りついたところで自室を尋ねたが不在と知り胸がざわついた。 きっとまた泣いている気がする。 一体、何を考えて涙を零すのか。
これほどに私を翻弄させることが出来るのは、夕鈴だけだ。 彼女に振り回されるのも、困惑されるのも、怒られるのも時には楽しいが、今回は別。 最近は政務に追われて、碌に話も出来ていない。

自然、足が急いていた。 後宮立入り禁止区域に夕鈴の姿は見えず、老師も未だ腰痛で休んでいるとのこと。 浩大に声を掛けると、すぐに現れるが、妙な顔を見せる。

「へーか、お妃ちゃんに何か言った? すげぇ凹んでるよ~」
「昨夜は魘されていた。 ・・・何か余計なことを考えているのだとは思うが、まったく心当たりがない・・・。 浩大、我が妃はどこにいる?」
「それにしても眼が溶けちゃうよ、あんなに泣いていたら。 お妃ちゃんは庭園奥の四阿で丸くなっているから、毛布でも持って行ってあげなよ、へーか」




泣いている内に、雨上がりの冷気で身体に寒気が襲ってきた。 
膝を抱えていた指先が白く、冷えているのが解かる。 いつまでも四阿にいる訳にはいかない。 夕鈴は大きな溜息を吐き、目を擦りながら立ちあがる。 寒さに身体をこすりながら歩き始めると、全身に暖かい毛布が掛けられた。

「え・・・?」

振り向くと不機嫌な顔の陛下が立っている。

「・・・どうして一人でこんな所に?」

冷たい声が耳に届き、夕鈴は固まってしまう。 不機嫌な顔と冷たい声に、視線が彷徨いそうになる。

「・・・掃除が終わって・・・ちょっと休憩をしようと、ここへ」

肩に掛かる毛布を握り締めながら一歩退く。 退いた分だけ近付いて来る陛下に、夕鈴は動けなくなった。 そのまま夕鈴を抱き上げると、無言のまま部屋へ足を進ませる。 何を口にしていいか解らなくなり、夕鈴は黙って抱かれているしか出来なかった。




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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:42:29 | トラックバック(0) | コメント(0)
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